今月清水エスパルスに加入し、5年ぶりに日本復帰を果たしたチョン・テセは、出場できなかった19日の名古屋グランパス戦を見てツイッターにこうつぶやいていた。

「昨日も審判がゲームの流れを決めてた。倒れたら笛」
「この判定基準には体を張るタイプの自分がプレイする時を考えたら不安になります」

日本のレフェリーは接触プレーですぐ笛を吹くとばかりの言葉だった。フィジカルの高さを武器にプレーする選手は、反則ばかり取られてしまうのではないか――。そんな心配が思わず口を突いて出ていた。

では復帰初戦となった25日の川崎フロンターレ戦で、テセの目に審判はどう映ったのか。試合開始早々、大島僚太のトラップが流れたところをチェックに行くと、さっそくファウルを取られる。そのときは不満を露わにしたが、その後はレフェリーに文句をいう場面はなかった。

試合後、審判について聞かれた鄭大世はすぐにこう切り出した。

「最初のは意味がわからなかった。足が浮いていると言われたけれど、ボールが浮いているから仕方がないと思ったんですけど。けれど、そのあとはきちんと見てもらえた。井川(祐輔)さんとぶつかったヤツも、ファウルを取られなかったし。スライディングしたら左足が当たったので、(反則に)取られてももおかしくなかったけれど」

「最初の一度だけストレスを感じたけれど、その後はなんともありませんでした。後半、取り過ぎかもしれないと思ったけれど、でもそうでもなかったです」

ACLで浦和と対戦したときは、「日本は球際に強くないのがわかりました」と語り、アグレッシブなプレーが日本チームに対しては効果的だとした。清水に復帰するに当たり、テセは自分の激しいチェックがファウルに取られるのではないかと心配していたが、実際はそうではなかった。テセは「倒れたら笛」ではないことを十分に認識しただろう。

そして、この屈強なFWを肉体的にも押さえ込めるDFが出てくることが、日本サッカーとハリルホジッチ監督には必要となる。テセの日本復帰は、DFを試すいい試金石になった。

【日本蹴球合同会社/森雅史】