舞台『K』第二章-AROUSAL OF KING- 植田圭輔&安西慎太郎対談「植ちゃんが背中を押してくれた」
現実とは微妙に異なる歴史を歩んだ現代日本を舞台に、7 人の≪王≫の確執と、そこに巻き込まれる少年の運命が異能者バトルと共に描かれる舞台『K』。初演から約1年を経た今夏、ついに舞台『K』第二章-AROUSAL OF KING-の上演が決定。八田美咲&伏見猿比古を演じる植田圭輔と安西慎太郎が、作品とキャラクターの魅力、そして、お互いの関係性について語った。

撮影/岡本武志 取材・文/大野奈緒美
ヘア&メーク/永瀬多壱(VANITES)

背中を押してくれた相方の言葉



――初演に出演されている植田さんにとっては、1年ぶりに立つ『K』の舞台。前作のラストは、上演も決定していない段階での次回予告という前代未聞のエンディングが衝撃的でした。

植田 最後のセリフが、キャスト全員による「いつの日か上演!」だったという…。そんな終わり方あるか!?ってビックリした観客の方も多かったんじゃないですかね(笑)。



――その予告が現実となった今、どんな気持ちですか?

植田 早く次の公演をやりたいっていう思いと、いつやれるんだろう?という焦りではないけれど、両方の気持ちを抱いていたので。1年越しに念願が叶って、本当にうれしいです。

――一方、安西さんは新キャストとして、第二章からの参加になります。

安西 出演が決まったときは単純にうれしいって気持ちだったんですけど、稽古が始まった今は、初演を演じた先輩たちが作り上げてきた作品に出られることの重みを、ひしひしと感じてます。
植田 僕は第二章でしんた(安西)が猿比古を演じるって聞いて、すごくテンションあがったよ。
安西 えっ、ホントに?
植田 5月に舞台「戦国無双」関ヶ原の章で共演したばかりで、こんなにすぐまた一緒の舞台に立てるとは思ってなかったから。しかも役柄的に相方って、すごく近い関係だし。しんたとは縁があるんだな〜って思ったよ。
安西 うわぁ、うれしいです!

――安西さんは、初演で伏見猿比古を演じていた鈴木拡樹さんから引き継いで演じるわけですが、プレッシャーは感じますか?

安西 拡樹くんの猿比古は、僕自身も観させていただいて本当に素晴らしいなと感じたし、正直、意識してないって言ったらウソになります。僕なりの猿比古を魅力的に演じていきたいと思ってます。
植田 今回、僕はスケジュールの関係で、みんなから遅れて稽古に入ったんですけど、しんたはその時点で、自分なりの猿比古を作り上げてましたからね。たった1週間で、本当スゴいなあって。
安西 でも、僕の背中を押してくれたのは植ちゃんだよ。



――植田さんから、何かアドバイスがあったんですか?

安西 出演が決まった時点で、植ちゃんに連絡したんですね。そしたら「しんたの好きにやりな」って言ってくれて。その言葉で肩の荷が降りたというか、僕は僕でいいんだって覚悟ができたところはあると思います。
植田 そうだったんだ? 初めて聞いた(笑)。

――新コンビ結成にあたり、ふたりで何か話し合ったりしました?

植田 とにかく殺陣のシーンが多いので、まずはそこのクオリティをあげていこうって話はしてますね。さっきも言ったように、猿比古についてはもちろん、『K』の世界観をすでに理解しているので、改まって「こうしていこう」みたいな話はしてないですね。
安西 植ちゃんは、ダメならダメってちゃんと言ってくれる人なんですよ。逆に、いいお芝居だと思えば「それいいね」って受け入れてくれるし。そこを僕はすごく信頼してるので。ね?
植田 お互い、相手のことをよくみるタイプではあるよね。「こうしたらよくなりそう」みたいな意見交換は、よくします。

思わず嫉妬…カンパニーでの存在感



――それぞれの役柄と自分自身、似ているところはあるんでしょうか?

植田 八田はかなり自分に近い感じがしてますね。僕自身はあんなふうにケンカっぱやくはないけど(笑)、負けず嫌いだし、本質的に男っぽいというか、女々しいことがあまり好きじゃないところとか。
安西 うん。似てるというより、一番大事な部分がリンクしてる感じがする。
植田 そうそう、根の部分がね。一度忠誠を誓った人にはとことん尽くす男気とか、僕も好きだと思った人とは本当に仲良くなるし。通ずる部分は多いと思います。

――安西さんと伏見はどうでしょう?

安西 猿比古は、美咲に対して強烈な執着心を持っているじゃないですか。あのまっすぐさは似てるなって、自分でも感じてます。
植田 うんうん。しんたは、前回共演したときも「そんなに殺陣の練習したら体がつぶれるよ〜」って言いたくなるぐらい、稽古中ずーっと槍を振ってて。相手と合わせるときだけじゃなく、時間があればひとりで鏡の前に立ってビュンビュンやってたから。まっすぐで、手を抜かない男なんですよ。
安西 いやいや(照)。基本的に、目の前のことに没頭しがちなんですよね。松ちゃん(松崎裕/鎌本力夫役)と凌くん(松田凌/伊佐那社役)から言われたんですけど、ずっと僕、頭を下げて、上目遣いでじっと人のこと見てるらしいんですよ。
植田 普段から猿比古が入っちゃってるよね(笑)。いいことだと思うよ、すごく。



――お互いにすごく理解しあってる感じがしますけど、知り合ってまだ日が浅いんですよね?

安西 5月の舞台が初共演だったから、ちょうど3カ月ぐらいですね。

――最初から気が合うな〜って印象だったんですか?

植田 というより、しんたは人間的にすごく気持ちのいい男なんです。とにかく素直! うれしいことも悔しいことも全部、素直に言葉にするんです。
安西 あはは(笑)、確かに言ってますねー。

――安西くんから見た植田くんは、どんな方ですか?

安西 植ちゃんは器のデカい人だなって思います。
植田 ちっちゃいけどな、身長は。
安西 またまた〜(笑)。たとえば、植ちゃんが初めて現場に顔を出した瞬間の空気感っていうのかな。みんながパッと嬉しそうな顔をしたんですよ。それを見て、植ちゃんの存在って本当に大きいなと思って。
植田 そんなことないって(照)。
安西 みんなが植ちゃんのまわりに集まって、次から次へと話しかけてましたから。この人はカンパニーにとって欠かせない存在なんだって強く感じましたし、そこにちょっと嫉妬もしたんですけど(笑)。

――みんなに慕われていて、いいなぁ…と?

安西 いいなぁというか、スゴいなって。自分が持ってないところを持ってる人がいたら、やっぱり嫉妬しちゃいますよね?
植田 ふふふ(笑)。まさにコレなんですよ、しんたの素直さは。こういうことをサラッと言えてしまう。僕からしたら、そっちのほうがスゴいなって思いますけどね。