人と人は、どうしようもなく食い違う。傷を負った側と負わせた側では、同じ場所にいても全く違うものを見ているのだ。近年報道されたたくさんの事や、過去に私の周辺で起きたいろいろな出来事が次々に心に浮かんできて、冷静に読むことができない小説だった。すっかり治ったと思っていた傷も引っ掻けばまた疼くし、血も滲んでくることを実感させられる。だが、読みながら強く感じていたのはそれとは違う種類の痛みなのだと思う。