江戸時代、日本は驚くべき文化大国だった。いわゆる「鎖国」下で、天下泰平を享受して独自の文化を醸成し、武家、商家から庶民まで、男女を問わず、それぞれに芸事を嗜んだ。それは、硬直した身分制に対して、価値転倒的な気風を含み、実際、それは身分を超えた社会対流を可能にした。大衆文化の醸成 天下人をめざす秀吉は、公家に互すべく、細川幽斎や里村紹巴に和歌連歌を学び、京に聚楽第を建て万人歓迎の大茶会を催し、暮松新