自分を生んだ罪で両親を訴える――そんな不条理な設定が話題を呼んでいる映画『存在のない子供たち』。舞台が中東レバノンのスラム街で、そこに住む貧困層の人々の話と聞いた途端、わたしたちには何の関係もない、遠い世界のフィクションと思うかもしれない。しかし、この映画が突き付けているのは、わたしたちが当たり前に受け取っている「近代国民国家」の暗部であり、社会システムに組み込まれた「構造的暴力」の静かな告発なの