近代は、デカルト以来、個人の理性に絶対的な信頼を置いてきた。きちんと理性を働かせれば、だれでも真理を得ることができる、と。しかし、カントに至って、個人の理性には限界があることが示され、ナポレオン時代のヘーゲルにおいては、もはや個人の理性などというものは、時代精神に振り回されているだけの傀儡と喝破された。なにかよくわからない世界理性なるものがあって、それが知識を学習していく過程において、人間どもを