欲張りすぎ!? 色の濃さが変わって蓄電もできる窓
家庭用の窓ガラスはたいてい透明だと思うが、オフィスの窓ガラスは色つきのケースも少なくない。明るすぎたり、中が見えすぎたりするのを避けるためだろう。
とはいえ、天候や時刻によって窓からの明るさが変わってもいいのではないだろうか。
明るさを調整するスマート窓
シンガポールの南洋工科大学がユニークな“スマート窓”を開発した。たとえば晴れた明るい日などには、クールな青に変わり、光の透過を半分くらいカットすることができる。
その一方で、夜間や必要があるときは透明なガラスに変わる。しかも、その調光には電力など外部のエネルギーを一切必要としない。
これまでの窓用ガラスは、明るさの調整ができないものか、できたとしても外部のエネルギーを必要とするものしかなかったそうなので、これは画期的だという。
それだけではない、このスマート窓は充電池にもなっていて、必要なときにはLEDのような省電力の照明を点灯させることもできるというのだ。
“プルシアンブルー”がカギを握る
このスマート窓は、同大学の電気電子工学部のSun Xiaowei教授らのチームによって開発された技術を活用している。これは、テレビのディスプレイなどに使われる透明な電導性のある酸化インジウムスズでコーティングされた2枚のガラスシートのあいだに、電解液を満たしたものだ。
使用しているガラスシートの1枚は“プルシアンブルー”と呼ばれる顔料の層でコーティングされ、もう1枚には薄いアルミホイルが貼られている。
2枚のガラスシートは一般的な電気コードで接続されているが、その回路が断絶すると、プルシアンブルーと電解液に溶けた酸素のあいだに化学反応が起きて電力が蓄電され、窓は青く色づくという。逆に、放電するための回路をつなげると、窓の色は消えて透明になる。
この技術を使えば、気温が上がりがちな時間帯は、室内に入ってくる光や熱をカットして冷房に使う電力を抑制したり、やや暗い時間帯には、窓の透明度を高めて照明に使う電力を抑制したりすることが可能になるという。
費用対効果の面も含めて、このスマート窓がどれほど現実的なものなのかはわからないが、今後は建物やインフラにおいて、様々な部位にこういった“スマート”な部材が使われていくことになるのだろう。
近年、ニーズにあわせて自動車の燃費が急激に改善したように、まだまだ社会全体にも省エネの余地はあるのかもしれない。
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【参考・画像】
※ NANYANG TECHNOLOGICAL UNIVERSITY