【事件の日】全身整形して風俗嬢に…夫にインスリン大量投与した中国人妻の疑惑
夫に糖尿病治療のインスリンを注射して殺害しようとした疑いで、妻の鈴木詩織（33＝当時）が逮捕されたのは2006年3月。詩織受刑者は中国黒竜江省出身で、逮捕当時は東京・浅草で風俗店を経営し「サクラ」の源氏名で活躍していました。
この風俗店のウェブサイトに公開していた顔写真と、逮捕当時の報道写真とで顔立ちが全然違っているのは、詩織受刑者が約1000万かけた全身整形によって大変貌を遂げているからです。
夫の鈴木茂さん（54＝当時）とは約20歳も年が離れていますが、1993年のお見合いツアーで知り合った翌年に結婚。千葉県の田園地帯にある茂さん宅で生活を始めました。
事件が起こったのは2004年4月。茂さんはインスリンの大量投与で脳障害を起こして意識不明になっています。しかしその頃スナックで働き始めた詩織は「茂さんの面倒は頼みます」と言い残して姿を消し、全身整形。そして「サクラ」で勤めることに……。
殺人未遂等の罪に問われた詩織受刑者の一審は千葉地裁で開かれました。ちなみに詩織受刑者はインスリン事件の前にも、台所でかがんだ茂さんの背中に熱湯を浴びせたことがあり、これも罪に問われていました。
夜の生活が一番苦痛だったインスリン大量投与に熱湯背中かけ……どんな恐ろしい嫁が法廷に現れるのかと思いきや、千葉地裁で見た詩織受刑者は、想像をはるかに超える可愛さでした。髪の毛はさらさらで背は低く、目はパッチリ。しかも日本語がたどたどしく、基本通訳が彼女の中国語を日本語にして公判は進んだのですが、時折日本語で喋ったりもして、それがカタコトっぽくさらに可愛らしさを倍増させています。
傍聴に来ていた他の男性も「かわいいなぁ」なんて廊下で語り合っていました。これは男だったら大いに油断してしまいそうです。また、被告人質問で質問内容が子供のことに及ぶと可愛らしく泣き出してしまい、公判が中断するなどのハプニングもありました。
2人の間には、一審当時で幼い子供が2人いて、黒竜江省に詩織受刑者が預けて送金をしていたとのことです。周囲からも夫婦仲はよく見えた、などといった報道もありましたが、しかし夫にこうした行為を繰り返すからには何らかの不満があったのでしょう。
「茂さんと20歳差……これだけ離れてるから大事にしてくれると思っていたけど、そうではなかった。茂さんは私にとって初めての男性……夜の生活は、日本の生活の中で一番苦痛でした。次に苦痛だったことは、ある年寄りのじいさんが、人の前で私の尻を触ったこと。『茂は金くれないだろ、私と1回ヤれば10万あげるから』と言われて、ココから離れたいと思いました。ほかには、茂さんのおばさんがたくさんいて……親戚関係にうんざりしていました」
これについてはインシュリンを詩織受刑者に提供したとして同じく罪に問われた別の女性も「詩織受刑者は夫とは好きで一緒になったわけではないけど、努力したと言ってました。でもすごい嫌だと聞いたことあります」と述べていました。
夫や親戚のことだけでなく、住んでいた地域についての不満も漏らします。お見合いツアーに参加した理由は「中学の時にテレビで日本の番組を観て、日本への憧れと、女性の優しいしゃべり方……全てを心から好きになりました。日本では毎日着物を着て、緑の木々や花の中を歩き、和室で生活……そう私は想像していました」と、テレビで観た京都の景色に憧れたからだそうですが、実際嫁いだ場所は千葉でした。
「千葉と京都は違う。ホント田舎なので想像と全然ちがった……」
軽い気持ちでお見合いツアーde結婚したけれど、意外とキツくて何とかその場を離れたいといった心境だったのでしょうか。
詩織受刑者「子供の親権が欲しかったので、薬を打って体を弱らせようと思っていました。……植物状態になる薬だとは思っていませんでした」
弁護人「事件のとき、もし茂さんが死んでしまっていたら、あなたはその後生活ができたと思いますか？」
詩織受刑者「イヤ……（涙）。どう処理していいか、全く予想がつかないです。私はただ、千葉から離れたかった……」
詩織受刑者には懲役15年が言い渡され控訴も棄却されています。もう少ししたら出所かもしれません。
ところで茂さんにまつわる災難はまだあります。結婚から1年後の1995年12月28日、茂さんと同じ敷地内に住む両親が殺害され家が放火されるという事件が発生しています。詩織受刑者が逮捕された当時、警察はこの放火殺人についても調べを進めたようですが、起訴はされず、これはいまも未解決です。
著者プロフィール
ライター
高橋ユキ
福岡県生まれ。2005年、女性4人の裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。著作『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』（新潮社）などを発表。近著に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』（徳間書店）
