『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』公式HPより

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◇鯛◇こうして、あなた方にお見せする日が来た。この30秒verは非常に危険だ。何故なら製作陣の極めて激烈なカラテ漲るこの動画に触れて以来、翻訳チームの者は歓喜興奮し謎めいて一日200回は再生せずにいられない状態だ。あなた方もそうなるだろう。ニンジャの脅威……それは半端しない◇餅◇

- Ninja Slayer (@NJSLYR)

 2015年春に始動予定のアニメ作品「ニンジャスレイヤー」。「キルラキル」で有名なアニメ制作会社、トリガーが手がける作品ということで注目を浴びている本作だが、12月8日、アニメ版のトレイラー動画が公開された。

※なお、流れているテーマ曲はブンブンサテライツの新曲である

「ニンジャスレイヤー」は元々ツイッターにて翻訳連載されているサイバーパンクニンジャ小説であり、現在のところ3つの漫画作品にてコミカライズ連載されている。

 余湖裕輝作画、田畑由秋脚本による無印「ニンジャスレイヤー」では、小説版のイラストレーターであるわらいなく氏のデザインに沿った作画が行われており、最も小説版のイメージに近い。さおとめあげはによる「ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ」はボーイズラブ的なニュアンスが強く、登場男性キャラの美形化(グッドルッキングガイズ重点)が行われた。3つ目の関根光太郎版は「ニンジャスレイヤー殺(キルズ)」であり、こちらでは少年漫画的なニュアンスを強調している。

 このように連載漫画作品は三作とも独自の解釈・方向性でニンジャスレイヤーの世界を表現した。アニメ版に関しては、公式ページトップのイラストが小説・無印漫画版のラインに近く、この方向性でのアニメ化となるであろうとニンジャヘッズ(ファン)の間では予想されていた。

 だが、公開されたトレイラーはファンの想像するサイバーパンク調の重苦しい色彩ではなく、より鮮やかなものであり、主人公であるニンジャスレイヤーの造形もどことなく90年代ロボットアニメのロボットを彷彿とさせるものであった。画面アスペクト比が4:3であることも、一昔前のノスタルジックな雰囲気を醸し出している。

 予想外の作風にヘッズは戸惑うかと思われたが、ツイッター上のニンジャスレイヤー専用タグでの反応は概ね好評のようだ。

すげえ… わらいなく版、コミッカライズ三種どれでもない! アニメイシヨンでも多様性を堪能できるなんて

- 四十川榮八朗 (@A8_User_144)

ツイッター小説、物理書籍、コミカライズ3作、ドラマCDまでやっておいて、どの路線とも違うってすごいな。多様性をうたってる作品だけど、良い意味で想像と全然違うってことには驚愕を禁じ得ない。ハァーッ!ハァーッ!早く本編が見たいっ!

- カズノハ (@kazunohaNet)

あんまり画面が暗いと何やってるか分かり辛いので、ビビッドな彩色にしたのはアニメイシヨン文法的に実際正解のはず。その辺当然プロフェッショナルたるトリガー=サンの決断に異議はない。流石にロボに寄せ過ぎな気はするが、しかしこれはこれで多様性!とにかく今は!ニンジャが動く!

- 千祷 (@centostrong)

正直、普通だと初見に事故の予感しか持たれないケースだけど、そこを「TRIGGER だからな」「ほんやくチームだからな」で期待に反転させるのは両者の積み重ねがあってこそだ。

- まきばっくす (@makibax)

 やはり若干の当惑の気持ちもあるようだが、「ニンジャスレイヤー」はこれまでにも様々な表現方法を試みてきた実績があり、培ってきた信頼が期待への裏打ちとなっているのであろう。

 実際のところトリガーも、もっとずっと「安全な」作風を選ぶことが可能であったはずだ。そこであえて一昔前のロボットアニメ風のニュアンスを打ち出してきたのは、ニンジャスレイヤーの世界観を自分たち独自の手法で表現しようとする意気込みのゆえと思われる。

 筆者がかつてアニメ関係者に聞いた話では、やはり原作作品のアニメ化はテンションが上がりにくいという面が実際あるようだ。アニメオリジナル作品とは違い、「結局は自分たちの作品ではないから」という思いが拭えないのだという。だが、本作に関して、トリガーは明確な冒険に打って出た。ただ原作をアニメ化するのではなく、原作を咀嚼し、我がものとし、自分たちの作品として世に送り出そうとする気概が感じられる。

 トリガーは「キルキラル」でも独自の演出表現を成功させた。ニンジャスレイヤーに関しても筆者はトリガーの力量を信頼しつつ、彼らのギャンブルに安心感をもって身を委ねたいと思う。

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『仁義なきキリスト教史』(筑摩書房)