平塚学園vs桐光学園
力投を見せる中川（桐光学園）
迎えた決勝戦。2006年以来の関東大会出場を決めた桐光学園と、前日に東海大相模との死闘を制し、関東大会出場を決めた平塚学園との対決。
平塚学園の先発はエースの高田 孝一（1年）ではなく、高田 准哉（2年）。高田准は独特のテークバックから投じる投手。小さなテークバックだが、高田准の場合、左手のグラブも一緒にセンター方向に引いていく。出所を隠す意識で投げているのだろう。
球速は高田孝とあまり変わりなく、常時120キロ後半〜130キロ前半を計測。力で押す投手だが、立ち上がりはやや制球力に欠けていた。
桐光学園は高田准の立ち上がりを攻め、1点を先制。1回表、1番根本が四球で出塁すると、3球目で二盗を成功。無死二塁から田中 幸城（2年）が中前安打で一、三塁のチャンスを作ると恩地が浅い右邪飛。これは三塁走者が突っ込むことが出来ず、4番中川 颯（1年）の浅い左犠飛で桐光学園が1点を先制する。
平塚学園は4回から左腕の新倉 慶輔にバトンタッチ。昨年は主戦として投げていた投手だ。球速は常時125キロ〜130キロの直球、スライダー、カーブを両サイドにテンポ良く投げ分ける好左腕で、桐光学園打線を凌ぐ。
5回裏平塚学園の反撃。5番倉岡 生来（2年）が左中間へ打球を放つ。風で打球が流され、外野の間に落ちて、二塁へ。7番東 凛太郎（2年）の投犠打で一死三塁。北岡の場面で、エンドラン！北岡は投ゴロ。だが倉岡は迷わず本塁へ生還し、1対1の同点に追いつく。
9回、三番手として力投を見せる堀江（平塚学園）
さらに7回裏、4番松本 涼雅（1年）がライト越えの二塁打を放ち、5番桑原の犠打で、一死三塁。6番倉岡が前進守備を抜ける中前適時打を放ち、2対1と1点を勝ち越す。
勝ち越してから平塚学園は打線が勢いづき、8番北岡が左中間を破る二塁打、新倉の代打・石丸が左中間を超える当たり。桐光学園のセンターがダイビングをするが、僅かに及ばずで、1点を追加する。
平塚学園は代打の石丸に代え、代走に篠竹を投入。さらに1番一場 裕也（2年）が犠打。これが野選となり無死一、三塁とし、竹橋の二ゴロで1点を追加し4対1。一死二塁から戸張がしぶとく左前適時打で5対1と点差を広げ、松本の死球で一死一、二塁。二死一、二塁の場面で6番倉岡が中前適時打でさらに1点を追加し、とどめは7番東が左横線二塁打で、二者生還し、8対1とする。
そして9回表、3番手・右サイドの堀江 俊介（2年）が威力のある速球を投げ込み、桐光学園打線を三者凡退に締めて、見事、優勝を決めた。
優勝を決めた平塚学園エース・高田孝が投げなくても、投打で圧倒。各野手の成長ぶりが光った大会となった。
1番一場は小柄ながら、キレの良い動きを見せる二塁手で、また好投手相手に振り負けしないバットコントロールが魅力。さらにあっという間に二塁に陥れる盗塁技術も魅力の右打ち内野手。
3番戸張は流れるような動き、軽やかなグラブさばきと高い守備力が光るショートストップで、打者としてはしぶとく、逆方向に打ち分ける打撃も見逃せない。
4番松本は懐が深い構えから、外野手の頭を越える当たりを連発する強打者。またポジショニングが上手い外野守備も魅力だ。
6番倉岡は好調時は右、左に打ち分けるバットコントロールが魅力。今大会は守備の貢献度が高く、守備範囲の広い外野守備、また低く鋭い返球が出来る強肩が魅力だ。
7番東は守備では欠かせない強肩捕手。相手打者の狙いを外すリードを心掛け、また投手の気持ちを乗せるのが上手く、まさに恋女房。打撃でも恵まれた体格を生かし、鋭い打球を飛ばす。好チームに好捕手ありだが、まさにその言葉が当てはまる選手だろう。
この時期としては守備の完成度がかなり高く、平塚学園の守備だからこそ、失点を防ぐことが出来ていた当たりが多かった。また5回裏にランナー三塁からエンドランをかけたように、躊躇のない走塁も魅力。
桐蔭学園、横浜隼人、東海大相模と当たる激戦ブロックだったが、その激戦ブロックを勝ち抜いての優勝。大きな自信を掴んだことだろう。初の選抜甲子園を目指し、10月25日から開幕する秋季関東大会でも、関東の強豪相手に大暴れを誓う。
（文＝河嶋 宗一）
