日本文理vs上越
先発・藤塚（日本文理）
夏の甲子園ベスト4の日本文理が県大会1回戦に登場。対する上越は今夏の大会、ほぼ1、2年生のみでベスト16に勝ち進み、新チームもほぼそのメンバーが残る注目校。試合は最終盤までもつれる接戦となった。
上越は初回、日本文理先発の藤塚（1年）を攻め、2本のヒットで二死一、三塁のチャンスを作るも、後続が倒れ先制のチャンスを逃す。だが二回、四球と送りバントでチャンスを作ると、9番・細川（2年）のタイムリーで待望の先制点を挙げる。
続く三回にも、2番・石平（2年）、3番・古澤（2年）の連続長短打でチャンスを迎える、4番・大平（2年）がきっちり犠牲フライを放ち、リードを2点に広げ、早々に藤塚を降板へ追い込む。
一方、上越先発の飯塚（2年）は、圧巻の投球。伸びのあるストレートを低めに丁寧に集め、的を絞らせない。強力日本文理打線に真っ向勝負を挑み、七回を99球、被安打2、四死球1、無失点と完璧な内容。
一方、藤塚をリリーフした日本文理エースの八幡（2年）も、ランナーを出しながらも粘り強いピッチングでスコアボードに0を並べていく。
上越先発・飯塚
球場全体がジャイアントキリングを意識し始めた八回、日本文理打線がついに目覚める。この日スタメン落ちした、代打・戸嶋（2年）が、ファールで粘って四球で出塁すると、相手エラーを挟んで、2番・福田（2年）のタイムリーでまず1点。その後一死二、三塁とチャンスを広げ、バッターは4番・川合（2年）。川合はフルカウントからの6球目をレフト前に運び、2塁ランナーも一気に生還し、逆転。さらに途中出場の6番・多賀（2年）にもタイムリーが飛び出し、この回一挙4点で逆転に成功。
最終回、上越は2安打し逆転に望みをつなぐが、最後は4番・大平が三振に倒れ、ゲームセット。4対2で日本文理が勝利し、ベスト8へ駒を進めた。
試合後、選手出入り口には多くのちびっ子ファンがつめかけ、旧チームでも主軸を務めた星 兼太（2年）をはじめとする選手たちにサインをねだった。ちびっ子たちにとって選手は、新潟が誇る身近なヒーロー。そして試合はその選手と触れ合える絶好のチャンス。一つ一つ丁寧に対応する選手たちの姿に、あらためてその人気の高さを感じた。
エキサイティングプレイヤー 川合哲平（2年・一塁手・日本文理）日本文理の強さの秘密。それは、「ここぞ」という場面で打線がつながること。大井監督が再三にわたって「うちのチームは七回から」と話す通り、「逆転の日本文理」は新チームにもそのDNAが引き継がれている。
七回まで、上越エースの飯塚に2安打に封じられ、ほぼ完璧に抑えられていた。この試合、4番に入った川合もその重いムードを感じていた。「七回までは、ベンチのムードはあまりよくなかった。何かが足りなかったんだと思います。でも藤塚をリリーフした八幡が、相手打線を抑えてくれて、2点差のまま八回を迎えることができた。自分も含めて八幡をなんとか援護したい。そんな気持ちが、みんなを集中させたんだと思います」
八回、先頭の代打・戸嶋が10球粘って四球で出塁すると、続く1番・荒木（1年）の打球はサードのエラーを誘った。2番・福田は初球をたたき、センター前ヒットで1点を返し、3番・星が倒れたものの、一死二、三塁のチャンスで川合に打席が回る。
「とにかくつなぐ意識。僕が決めようという気持ちではなく、後ろに期待できるバッターがいるので、大量得点につなげられるようにと思って打席に立ちました」
川合の放った打球はしぶとく三遊間を抜け、2塁ランナーの好走塁もあり、チームに逆転をもたらす一打となった。
この勝利で、旧チームからの県内公式戦連勝記録をまた一つ伸ばした日本文理。そのチームで絶対的な存在だった主将・池田 貴将（3年）から4番を受け継ぐ川合。
「（4番ということに）プレッシャーはありますが、どの打順でも変わらず、つなげる意識を持って一戦一戦臨みたいと思います。そして、先輩たちが昨年の秋、今年の春と北信越を制覇しているので、それに負けないような成績を残していきたいです」
4番・川合を中心にDNAをしっかり受け継いだ新チームが、先輩たちの偉大な成績を前に、臆することなくまた新たな伝説を作り上げていく。
（文＝編集部）
