【米国はこう見ている】ヤンキースとレッドソックスの間で17年ぶりに“禁断”のトレードが成立
ヤンキースがレッドソックスのスティーブン・ドリューを獲得
2年ぶりのプレーオフ進出を目指すヤンキースが1997年以来となる宿敵レッドソックスとの“禁断”のトレードで、スティーブン・ドリュー遊撃手を獲得した。
ヤンキースはドリューと50万ドルを手にする代わりに、ケリー・ジョンソン内野手を放出。ドリューとダイヤモンドバックスから獲得したマーティン・プラド内野手のためのロースター枠を空けるために、ブライアン・ロバーツ二塁手を戦力外とした。
今季開幕前にヤンキースはレッドソックスでFAとなっていたジャコビー・エルズベリー外野手を獲得。レッドソックスのファンはエルズベリーがヤンキースと契約当初「裏切り者」と激しく非難した。
その不倶戴天の天敵同士でトレードが成立したのは1997年8月13日にヤンキースがマイク・スタンリーとランディー・ブラウンを獲得し、トニー・アルマスジュニアをレンジャーズに放出した時以来だという。MLB公式サイトによると、実に17年ぶりとなる“禁断”のトレード実現の経緯について、ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMはこう語っている。
「ドリューのトレード話は今日になって起きた。ボストンがトレードに動き出して、チーム編成を大きく変えようとした時に、私から提案した。彼らが一旦(主力放出の)動きを表明した時に、ベン・チェリントン(レッドソックスGM)にメッセージを出した。そこから、素早く交渉がまとまった」
レッドソックスGMは「ヤンキースとの話が一番フィットした」
一方、来季以降の巻き返しのためにエース、ジョン・レスター投手ら主力を次々にトレードに出したレッドソックスのチェリントンGMは「ドリューに関しては遊撃手を求めている多くのチームと話した。その中でヤンキースとの話が一番フィットした。おそらく、遊撃手ではなく二塁手としてプレーするだろう。我々としては最後のトレードだった」と語っている。
1919年12月、レッドソックスが伝説の大打者ベーブ・ルースをヤンキースに放出するというメジャーで最も有名なトレードを成立させた2チームだが、ライバル関係は悪化の一途をたどり、1973年にジョージ・スタインブレナー氏がヤンキースを買収以来、3度しか両軍のトレードは成立していなかったという。
キャッシュマンGMは「我々2チームは、どちらかはプレーオフモードでなければならないし、もう一方はある程度チームが再建されていなければならないと、個人的に思っている。前回(のトレード)で起きたこともそれだ。レッドソックスとヤンキースの間にはすごく大きなリスペクトが存在する。最高のライバル関係だ。ただ、ビジネスの話になれば、間違いなくすごく慎重になるがね」と語っている。
ドリューは昨季レッドソックスのワールドシリーズ優勝に貢献したが、チームからのクオリファイング・オファーを拒否。より良い条件でのオファーを求めていたが、開幕後も買い手は現れなかった。結局5月21日にレッドソックスと1000万ドルの1年契約を結んだ。
ドリューは今季39試合出場で打率は.176と不調。4本塁打、11打点という成績だが、本職の遊撃手のみならず、二塁と三塁もこなすことができる。今季限りで現役引退するデレク・ジーター主将がショートの定位置を守り続けるため、ジーターが休養日以外はドリューはロバーツが務めていた二塁にシフトすることが予想されている。