知られていなければ存在していないに等しい/小槻 博文
【広報・PR事例紹介】
超高齢社会、都市化に伴う孤立、ITテクノロジーの発展による情報格差など、現代社会が抱えるさまざまな課題をコミュニケーションの力によって解決すべく2013年6月に設立された株式会社こころみ。
今回はそんな同社の現在までの取り組みや広報・PR活動について紹介する。
広報・PR情報サイト「広報スタートアップのススメ」 http://www.pr-startup.com/
〜孤独や孤立をコミュニケーションによってなくしたい!〜
同社代表の神山晃男氏は長野県の出身ながら、高校時代に郷里を離れて上京し、大学卒業後もそのまま東京でコンサルティングファームや投資ファンドに勤務していた。しかし郷里を離れてから時間が経つにつれて実家の両親のことを考えるようになり、そしていずれはどちらかが一人暮らしになることに不安を感じるようになっていった。
また神山氏自身も上京した当時一人暮らしで孤独を感じたり、大学時代には演劇を嗜み演者同士の関係づくりを学んだりしたことで、人間が生きていくうえで「コミュニケーション」が重要であることを常に意識していた。
そこで「孤独や孤立をコミュニケーションによってなくす」ことを目的に2013年6月に株式会社こころみを設立。そして全国に約500万人いると言われている一人暮らしの高齢者の孤独を解消すべく、一人暮らしの高齢者向けの見守りサービスとして「つながりプラス」の提供を2014年2月から開始するに至った。
高齢者向けの見守りサービス自体は既にいくつかあるが、いずれも“安否確認”の性質が強いものばかりであるのに対して、「つながりプラス」は“コミュニケーション”に重きを置いたサービスであるのが特徴だ。
面識がない担当者だとどうしても高齢者は不安になってしまう。そこで初回時に担当するコミュニケーターが実際に面会して「顔見知り」になり、そのうえで週2回電話で話をして、その内容をメールにて家族へ報告する。
「顔見知り」になることにより、どうしても心配かけたくないと家族には直接伝えづらいことでも「顔見知りの他人」であるコミュニケーターには話せたり、また子どもだと説教口調になったり感情的になったりしてしまうことも他人だと緩和しやすいというメリットがあるという。またレポートする際も要約せずにほぼそのまま報告するので、会話の雰囲気や話し方などからちょっとした変化を把握することが可能とのことだ。
さらに「話し相手」が出来ることで安心感が生まれたり、次回の電話時のための“ネタ”づくりに向けて、外出する機会が増えたり何か新しいことに挑戦するようになったりするなど、行動的になる高齢者も多くいるという。
〜サービスを真に理解していなければ始まらない〜
そんな同社の取締役である早川氏は、元々は新卒で富士急行に入社し、現場や企画部門を経て広報・宣伝に約7年携わった。その後日本経済新聞社へ転職し、日経電子版のIDを活用した新しい展開を検討するチームに参画したが、そのときソーシャルビジネスを表彰する「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」の立ち上げに関わったことがきっかけで、ソーシャルビジネスに関心を持ち始めた。そんなときに大学時代の演劇仲間だった神山氏から起業の話を聴いて参画するに至った。
現在実務と広報・PR活動を並行して行っている早川氏だが、広報・PR活動を行う上で実務に関わることに大きな意味があると語る。
「スポークスパーソンである広報・PR担当者が経営者と同様もしくはそれ以上に事業のことを理解していなければ、相手にきちんと伝えることが出来ません。また単に伝えるだけでは意味がなく、如何にこのサービスの有益性を理解してもらえるかが重要ですので、私自身もコミュニケーターとして実務に関わることで、リアリティがある内容を発信することが可能になります。もっと言えば、サービス自体大したことが無ければいくら広報・PR活動で取り繕っても意味がありませんので、実際に実務に関わりながらサービスを改善し、そしてもっと多くの人へ広めていくべく広報・PR活動に励む、そんな循環をつくっていきたいと思っています。」(早川氏)
そして情報に接触する機会は人それぞれなので、情報接点をくまなくつくり、そして情報を求めている人たちに対してきちんと情報を提供する、そしてそのために考えられることはまずはやってみる、そんなスタンスで取り組んでいるという。
〜ベンチャーこそ基本が出来ていなければ信用してもらえない〜
具体的には、このようなサービスは“信頼”が重要視されるので、第三者による情報としてのパブリシティに力を入れるのはもちろん、リアルコミュニケーションの機会を積極的につくるようにしている。
そのうえで情報に接触して関心を持った層に対して、ユーザーが知りたい情報をきちんと提供出来るようにWEBサイトを構成するのはもちろん、わかりやすくサービスを解説した動画を掲載したり、資料提供が出来るようにリーフレット類を充実させたりしている。
「これらは基本的なことばかりですが、特にベンチャー企業の場合、基本的なことが出来ていないと、企業として“体”をなしていないとみられてしまい、信用してもらえません。基本をきちんと成すことが、お客様からも、そしてメディアからも信用たる企業として見られ、そしてお問い合わせや取材依頼などにつながるのだと思います。」(同)
〜知られていなければ存在していないに等しい〜
現在一人暮らしの高齢者は約500万人いると言われている。「つながりプラス」はこのような人たちの孤独を解消したいという想いから立ち上げられたサービスだが、では500万人の高齢者やその家族にこのサービスを知ってもらえているかと言えば、まだまだ知らない人たちのほうが多いだろう。
「どんなに良いサービスだと自負していても、知られていなければ存在していないのと同じですし、また知ってもらうまでに時間を要してしまったら、それまでの間孤独を抱えて悩まれてしまうことになってしまいます。したがってより多くの方々に、いち早くサービスを知ってもらえるように、引き続き広報・PR活動に力を入れていきたいと考えています。」(同)
また例えば二人暮らしだけど相方を介護している人とか、老人ホームに入居しているものの心を開ける相手がいない人、更には単身赴任の父親や引きこもりの学生など、“孤独”を抱えているのは一人暮らしの高齢者に限らずさまざまなケースが想定される。
同社では、まずは最もボリュームが多い一人暮らしの高齢者向けのサービスを展開しながらも、今後は社会から“孤独”を失くすべくその対象を広げていきたいとしている。
超高齢社会、都市化に伴う孤立、ITテクノロジーの発展による情報格差など、現代社会が抱えるさまざまな課題をコミュニケーションの力によって解決すべく2013年6月に設立された株式会社こころみ。
今回はそんな同社の現在までの取り組みや広報・PR活動について紹介する。
広報・PR情報サイト「広報スタートアップのススメ」 http://www.pr-startup.com/
同社代表の神山晃男氏は長野県の出身ながら、高校時代に郷里を離れて上京し、大学卒業後もそのまま東京でコンサルティングファームや投資ファンドに勤務していた。しかし郷里を離れてから時間が経つにつれて実家の両親のことを考えるようになり、そしていずれはどちらかが一人暮らしになることに不安を感じるようになっていった。
また神山氏自身も上京した当時一人暮らしで孤独を感じたり、大学時代には演劇を嗜み演者同士の関係づくりを学んだりしたことで、人間が生きていくうえで「コミュニケーション」が重要であることを常に意識していた。
そこで「孤独や孤立をコミュニケーションによってなくす」ことを目的に2013年6月に株式会社こころみを設立。そして全国に約500万人いると言われている一人暮らしの高齢者の孤独を解消すべく、一人暮らしの高齢者向けの見守りサービスとして「つながりプラス」の提供を2014年2月から開始するに至った。
高齢者向けの見守りサービス自体は既にいくつかあるが、いずれも“安否確認”の性質が強いものばかりであるのに対して、「つながりプラス」は“コミュニケーション”に重きを置いたサービスであるのが特徴だ。
面識がない担当者だとどうしても高齢者は不安になってしまう。そこで初回時に担当するコミュニケーターが実際に面会して「顔見知り」になり、そのうえで週2回電話で話をして、その内容をメールにて家族へ報告する。
「顔見知り」になることにより、どうしても心配かけたくないと家族には直接伝えづらいことでも「顔見知りの他人」であるコミュニケーターには話せたり、また子どもだと説教口調になったり感情的になったりしてしまうことも他人だと緩和しやすいというメリットがあるという。またレポートする際も要約せずにほぼそのまま報告するので、会話の雰囲気や話し方などからちょっとした変化を把握することが可能とのことだ。
さらに「話し相手」が出来ることで安心感が生まれたり、次回の電話時のための“ネタ”づくりに向けて、外出する機会が増えたり何か新しいことに挑戦するようになったりするなど、行動的になる高齢者も多くいるという。
〜サービスを真に理解していなければ始まらない〜
そんな同社の取締役である早川氏は、元々は新卒で富士急行に入社し、現場や企画部門を経て広報・宣伝に約7年携わった。その後日本経済新聞社へ転職し、日経電子版のIDを活用した新しい展開を検討するチームに参画したが、そのときソーシャルビジネスを表彰する「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」の立ち上げに関わったことがきっかけで、ソーシャルビジネスに関心を持ち始めた。そんなときに大学時代の演劇仲間だった神山氏から起業の話を聴いて参画するに至った。
現在実務と広報・PR活動を並行して行っている早川氏だが、広報・PR活動を行う上で実務に関わることに大きな意味があると語る。
「スポークスパーソンである広報・PR担当者が経営者と同様もしくはそれ以上に事業のことを理解していなければ、相手にきちんと伝えることが出来ません。また単に伝えるだけでは意味がなく、如何にこのサービスの有益性を理解してもらえるかが重要ですので、私自身もコミュニケーターとして実務に関わることで、リアリティがある内容を発信することが可能になります。もっと言えば、サービス自体大したことが無ければいくら広報・PR活動で取り繕っても意味がありませんので、実際に実務に関わりながらサービスを改善し、そしてもっと多くの人へ広めていくべく広報・PR活動に励む、そんな循環をつくっていきたいと思っています。」(早川氏)
そして情報に接触する機会は人それぞれなので、情報接点をくまなくつくり、そして情報を求めている人たちに対してきちんと情報を提供する、そしてそのために考えられることはまずはやってみる、そんなスタンスで取り組んでいるという。
〜ベンチャーこそ基本が出来ていなければ信用してもらえない〜
具体的には、このようなサービスは“信頼”が重要視されるので、第三者による情報としてのパブリシティに力を入れるのはもちろん、リアルコミュニケーションの機会を積極的につくるようにしている。
そのうえで情報に接触して関心を持った層に対して、ユーザーが知りたい情報をきちんと提供出来るようにWEBサイトを構成するのはもちろん、わかりやすくサービスを解説した動画を掲載したり、資料提供が出来るようにリーフレット類を充実させたりしている。
「これらは基本的なことばかりですが、特にベンチャー企業の場合、基本的なことが出来ていないと、企業として“体”をなしていないとみられてしまい、信用してもらえません。基本をきちんと成すことが、お客様からも、そしてメディアからも信用たる企業として見られ、そしてお問い合わせや取材依頼などにつながるのだと思います。」(同)
〜知られていなければ存在していないに等しい〜
現在一人暮らしの高齢者は約500万人いると言われている。「つながりプラス」はこのような人たちの孤独を解消したいという想いから立ち上げられたサービスだが、では500万人の高齢者やその家族にこのサービスを知ってもらえているかと言えば、まだまだ知らない人たちのほうが多いだろう。
「どんなに良いサービスだと自負していても、知られていなければ存在していないのと同じですし、また知ってもらうまでに時間を要してしまったら、それまでの間孤独を抱えて悩まれてしまうことになってしまいます。したがってより多くの方々に、いち早くサービスを知ってもらえるように、引き続き広報・PR活動に力を入れていきたいと考えています。」(同)
また例えば二人暮らしだけど相方を介護している人とか、老人ホームに入居しているものの心を開ける相手がいない人、更には単身赴任の父親や引きこもりの学生など、“孤独”を抱えているのは一人暮らしの高齢者に限らずさまざまなケースが想定される。
同社では、まずは最もボリュームが多い一人暮らしの高齢者向けのサービスを展開しながらも、今後は社会から“孤独”を失くすべくその対象を広げていきたいとしている。