藤沢西vs秦野総合
横浜スタジアムで行われた神奈川県大会2回戦第2試合は、藤沢西と秦野総合の対戦。昼を過ぎ、さらに強くなる日差しと高い気温の中、13時29分に始まった。
先制したのは秦野総合。初回、1番・岩本 啓太、2番・兵藤 長門が連打で出塁。3番・高橋 雄大が送りバントを決め一死二、三塁とすると、4番・市川 顕也の内野ゴロの間に岩本が還り、1点を先制する。
しかし藤沢西はその裏、二死から3番・楠野 雄太、4番・菊池 匠斗が連続で四球を選びチャンス到来。ここで5番・千葉 仁人が放った打球はレフトを越えフェンスまで到達するタイムリーツーベースに。2点を奪い逆転に成功すると、6番・横田 智哉もセンターへのタイムリーで続き、藤沢西が3点を挙げる。
だが秦野総合もそう簡単には藤沢西を独走させない。福田 龍聖が左中間へのツーベースで出塁。二死一、三塁となった後、3番・高橋 雄大の打球をサードへ。がむしゃらに走る高橋は一塁へ気迫のヘッドスライディング。これがセーフ、内野安打となり、その間に福田がホームイン。1点差に詰め寄る。
追いつかれるわけにはいかない藤沢西はその裏、一死からヒットと四球で満塁のチャンスを作る。二死となったところで打席には8番、先発・篠木 燿介。打球はライトの脇を抜けころころとフェンスまで到達。走者一掃の3点タイムリースリーベースとなり、藤沢西が6対2と秦野総合を突きはなしにかかる。
だが秦野総合も食い下がる。4回には篠木を攻め、ワイルドピッチで1点を返し6対3。5回にも二死二、三塁まで攻めたて、徐々に流れを引き寄せていく。
そして7回表、秦野総合の攻撃。ヒットで出塁したこの回先頭、9番・福田 龍聖を2塁に置き、2番・兵藤長門がバント。キャッチャーがキッチリと処理して一塁に送球するも、兵藤の快足が勝ちセーフ。内野安打で一死一、三塁とさらにチャンスを広げる。 続くは3番・高橋 雄大。相手を追い上げている最中、勢いのあるチームは打球を転がせば何かが起こる。センターへ抜けようかという当たりを藤沢西セカンドがキャッチ。ここまで良い守備を連発していた内野陣。さすがだと思われたが、ショートとのボールのやり取りの中でファンブル、エラーとなり、その間に三塁ランナーの福田が還りこれで6対4、なおも一死一、二塁。じわじわと追い上げていく秦野総合に、リードはしているが追い詰められているようなジリジリとした焦燥が藤沢西ナイン、そしてスタンドを包み込む。
だが、藤沢西先発・篠木 燿介は怯まなかった。疲れの見える中でも気持ちのこもった速球で後続をファーストフライ、ライトフライにそれぞれ打ち取りスリーアウトチェンジ。追い上げをかわした。
しかし、秦野総合はなおも攻撃の手を緩めない。8回には一死から代打の小澤 宣幸が四球を選び出塁。天野勇作もヒットで続き一、二塁のチャンスを迎える。外野を抜ければ同点もあるこの場面。藤沢西の命運は、この回からマウンドに上がった藤沼 航太の右肩に託された。その藤沼は続く打者を内野ゴロダブルプレーに打ち取り、見事ピンチを脱出。秦野総合に傾いていた流れを藤沢西に取り戻した。
結局、藤沼はその後9回も3人でぴしゃりと抑えゲームセット。藤沢西が6対4で秦野総合を振り切り3回戦進出を決めた。
（文＝青木 有実子）
【冬が僕らを強くする：第29回 県立藤沢西高校（神奈川）】
