フェイスブックのアドネットワークがついに登場
フェイスブックが発表した新たなアドネットワークによって、今後はあらゆるサードパーティー・アプリ上でフェイスブック広告が表示可能となった
フェイスブックのアドネットワークがついに発表された。水曜日に開催されたフェイスブックの F8 デベロッパー・カンファレンスで同社は、デベロッパーやパブリッシャーがサードパーティ・アプリケーション上にフェイスブック広告を配信できるシステムのリリースを公式に発表した。
このシステムは「Facebook Audience Network」と呼ばれる。このアドネットワークによって、フェイスブック純正ではない広範囲なアプリケーションのユーザーを対象に、フェイスブックのデータを利用してパーソナライズされた広告を配信することが可能となる。
フェイスブックは今年の1月から一部のパートナー企業とアドネットワークをテストしており、本日それがすべてのデベロッパーやパブリッシャーに公開された。
このフェイスブックのアドネットワークに関するニュースは先週の段階でリークされていたが、同社は当時その存在を否定していた。COOのシェリル・サンドバーグは「非常に初期的なアドネットワークの試験を実施している状態」と慎重にコメントしていた。
拡大する広告事業
フェイスブックのモバイル広告ビジネスは盛況だ。すでに同社の広告収入全体の60%を超えており、フェイスブック・ユーザー数の成長がすでに安定水準に達している米国やカナダのような国々においても、広告収入は上昇し続けている。
このモバイル広告の収入を支えているのが、アプリのインストールを促す広告だ。ユーザーが広告をクリックすると、直接アプリのダウンロード画面に誘導されるというものだ。このアプリ広告はフェイスブックで非常に好調なため、ツイッターやヤフーのような企業もこれに追随している。
本日発表されたFacebook Audience Networkは、グーグルのAdMobと競合することになる。AdMobは、グーグルのターゲティング広告をサードパーティーのサイトやアプリに表示するアドネットワークだ。しかしフェイスブックの利点は、同社がはるかに豊富な個人情報を持っており、より高度なユーザーのターゲティングを提供できるところにある。
デベロッパーにとってはグッドニュース
すでに多くのデベロッパーはフェイスブックの開発ツールを使ってアプリを開発している。同社が昨年買収したBaaS(Backend as a Service)のParseは、モバイル・アプリのサーバーサイド部分をサポートするサービスを提供しており、マルチプラットフォームに対応したアプリの開発を容易にしてくれる。またソーシャル・データ分析会社のGigyaによると、ユーザーがフェイスブックのアカウントを使ってアプリケーションやウェブサイトにログインする「Facebook Login」は、すべてのオンライン・ソーシャル・サービスにおけるログインの過半数を占めているという。
多くのデベロッパーはフェイスブックの広告を作成し、配信できることを楽しみにしている。
「多くのユーザーがFacebook Loginを使ってアプリにログインしています。もしデベロッパーがユーザーの個人情報を活用してフェイスブックの広告を提供し、多くの利益につなげられるとしたら非常に効果的でしょう」とY Media LabsのCEOアシシュ・トシニワルは述べている。
Facebook Audience Networkによってデベロッパーは、自社アプリの開発戦略を「ひとつ屋根の下」で固めることが可能になる。アプリケーションの開発、管理、マネタイズの全てのステップで、フェイスブックのサポートが得られるのだ。Facebook Loginによって、デベロッパーはすでにアプリのユーザーの背後にあるユーザー属性にアクセスする手がかりを持っている。ユーザーがFacebook Loginを多くのアプリで使えば使うほど、ターゲティング広告の精度は高まっていくのだ。
※編集部注:フェイスブックは同時に、ユーザーがFacebook Loginを匿名で行ったり、あるいはアプリに公開する個人情報を詳細に選択できるというオプションも発表している。
ただし、アプリの機能上ユーザーの名前や顔写真などが必要となる場合には、ログイン時に個人情報の一部を要求することもできるようだ。
画像提供:Selena Larson
Selena Larson
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