WindowsXPのサポート終了が4月9日に迫った今、ネットウイルスの恐怖にさらされているのは、XPユーザーだけではない。

パソコンのセキュリティ事情に詳しいITジャーナリストの三上洋氏が、こう警告する。

「ウイルスの多くは、ウェブサイトを見ただけで感染してしまいます。そして、そのウイルスが社内LANなどを通じて、ほかのコンピューターに感染するんです」

つまり、社内にサポ切れのXPが1台でもあれば、その会社にあるすべてのパソコンがウイルスに感染してしまう危険性もあるということだ。

「今、一番狙われているのは社内LANなどでネットワークされている企業です。実際に多くの省庁や大企業でウイルスが見つかっています。そうした組織は外側からの守りはしっかりしているが、内側は意外ともろい。

例えば、『@×××××.go.jp』という省庁のドメインに一斉にメールを送って、『震災後の対応について』というワードの文章を添付する。そして誰かがワードの文章を読むと、その裏でウイルスのプログラムが起動して感染してしまう。1台感染すると、その部署のほかのコンピューターも全部やられます」(三上氏)

こうして感染したウイルスは、パソコンから個人情報などを次々と盗み出していく。

「ウイルスに感染すると、個人情報や会社の資料など、コンピューターの中にあるファイルは全部盗まれます。最近はキーボードの入力情報を全部記憶するウイルスというのもあるので、暗証番号を打ち込まなくても、入力した履歴から使用期限やセキュリティコードまで全部バレます。また、アドレス帳にある知人の電話番号や住所なども全部取られます。それが犯罪に使われれば、個人情報漏らしの犯人にさせられてしまうこともあります」(三上氏)

さらに、今、話題となっている「PC遠隔操作事件」の巻き添えになる危険性もある。

「ウイルスによっては遠隔操作ができるものもあります。掲示板に脅迫文を書いたり、爆破予告をしたりできるので、片山祐輔被告のように遠隔操作犯として逮捕される可能性もあります」(前出・三上氏)

つまり、サポ切れのXPパソコンが身近にあった場合、感染源として周囲を巻き込み、さらには自分が犯罪者に仕立てられてしまう可能性もあるのだ。

この4月9日のタイミングを狙っているハッカーも多いはず。今一度、社内を点検し、もしXPパソコンがあったら、すぐにインターネットケーブルを抜いておこう。

(取材/村上隆保、取材協力/松村さやか)