確信犯で言葉を誤用しても、悪びれない。……という文章自体が、間違っている

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先日、「敷居が高い」の使い方についてお叱りを受けてしまった。私は「ハードルが高い」「レベルが高い」の意で使っていたが、それは誤用。「相手に不義理等があり、その人の家に行きにくい」状況を表現する際に用いるのが、正しい使い方である。
……なるほど。でも本当のことを言うと、知ってました。“確信犯”で使っていたんです。

と反論する前に、私は自分を注意するべき。なぜなら、この「確信犯」の使い方も誤りだから。詳しくは先日、国語辞典『大辞林』(小学館)編集部が示したデータを見てみたい。
というのも「辞書の日」である10月16日(米国の辞書編修者、ノア・ウェブスターの誕生日/1758年)を記念し、同編集部が「間違った意味で使われる言葉ランキング」と「言い間違いされる言葉ランキング」を発表しているのです。

まずは、「間違った意味で使われる言葉ランキング」の方に注目です。『大辞泉』編集部が50の言葉をセレクト、この言葉たちについて「普段、あなたが次の言葉を使うとき、どのような意味で使っていますか? 本来の意味かどうかは問いません」とインターネット調査でユーザーへ質問。その際、「よく見かける、本来と異なる意味」と「本来の意味」を二択で提示し、前者の回答が多かった順で作られたのが、このランキングであります。
では、気になる結果を見てみましょう。1位は、なんと「ハッカー」! 「本来と異なる意味」、要するに誤用しがちな使い方は「コンピューターに侵入し、不正行為を行う人」の意だが、本来は「コンピューターやインターネットにくわしい人」を指す言葉だそうだ。
「そういう意味の言葉『クラッカー』と混同されているのでしょう」(『大辞林』編集部)
へぇ〜、全く知りませんでした!

続いて2位には、予想通り「確信犯」がランクイン。「悪いことであるとわかっていながらする犯罪」として使われがちだが、本来は「信念に基づいて『正しいことだ』と思い込んでする犯罪」を表す言葉である。
3位の「他力本願」は、「自分で努力するのでなく、他人からの助けに期待すること」が誤りで、本来の意味は「自らの修行などによって悟りを得るのでなく、仏の力によって救済されること」という意味。

以下、どれもが興味深いので列挙していきましょうかね!
4位:「破天荒」
本来と異なる意味……豪快で大胆不敵なようす
本来の意味……だれも成し得なかったことをすること
5位:「姑息(な手段)」
本来と異なる意味……ひきょうであるさま
本来の意味……一時しのぎであるさま
6位:「失笑する」
本来と異なる意味……笑いも出ないくらいあきれる
本来の意味……思わず笑い出す

続いては、「言い間違いされる言葉ランキング」の方に注目。同編集部が選んだ50 の「意味」について、「次の意味を表す言葉として、あなたが普段使っている方を選んでください」と質問。その際、「よく見かける間違った言い方」と「本来の言い方」を二択で提示し、前者の回答が多かった順でランキングされています。

では、驚愕の一位を。「途切れがちの会話などを、うまくつなぐことができない」という意味を表す慣用句、実は「間が持たない」は言い間違いなんです。本当は、「間が持てない」が正しいそう。
本来と異なる言い方……「間が持たない」
本来の言い方……「間が持てない」

もう知らないことばかりなので、またしても以下に列挙です!
2位:「激しい語気の声を出す」を意味する言葉
本来と異なる言い方……「声をあらげる」
本来の言い方……「声をあららげる」
3位:「相手のすきをついて失敗させる」を意味する言葉
本来と異なる言い方……「足もとをすくう」
本来の言い方……「足をすくう」
4位:「陣頭に立って指図をする。指揮する」を意味する言葉
本来と異なる言い方……「采配(さいはい)を振るう」
本来の言い方……「采配(さいはい)を振る」
5位:「激しく怒る」を意味する言葉
本来と異なる言い方……「怒り心頭に達する」
本来の言い方……「怒り心頭に発する」

「近年『声をあらげる』とすることもありますが、本来は誤りです。正しくは『声をあららげる』で、漢字にすると『声を荒らげる』と書きます」(『大辞林』編集部)
なるほど。いや、本来の言い方が逆に新鮮!

ただ時代の移り変わりによって、人が使う言葉が変容していくのは自然ではないでしょうか。例えば100年も経ち、それでも同じ言葉を使うのはそれはそれで……。なんて、個人的には思ったりして。勿論、程度によるでしょうけど。
いや、あくまで個人的意見ですが……。
(寺西ジャジューカ)