スマホをかざすと、秋田民謡の名歌唱が聴こえてくる

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「秋の夜長」という言葉があるが、どんな楽しみ方をしたらいいと思います? パッと思い浮かぶのは、“お酒”。しっぽり飲んで、まったり過ごしたい。さあ、その時。無音の世界もいいけども、お酒に合う音楽ってありますよね。「パブロック」なんてジャンルもあるわけだし、ウイスキーやブランデーを飲みながら耳を傾けるといい感じです。
じゃあ、日本酒の場合はどうしよう? 特に、地酒を飲む合間。そんな時は、その土地に伝わる歌なんかを聴けばいいのかも……。

そこで、これをご紹介したい。「八千代酒造」(秋田県)が7月より発売している特別純米酒『仙北荷方節(せんぼくにがたぶし)』は、商品ラベルにスマホをかざすと秋田民謡が流れる日本酒であります。
流れは、至極簡単。専用アプリ「Layar」(無料)をダウンロードすれば、後は「飲む」→「かざす」→「聴く」と、もうそれだけ。

ちなみに「仙北荷方節」とは、秋田民謡の曲名でもある。
「仙北荷方節保存会の懇親会で、会員の一人から『お酒を注ぐと民謡が流れ出すような、そんなものがあるといい』という発言が出たんです。そこから、『AR機能を使えばできるかもしれない』と思い付き、苦心の末に完成することができました」(同社・担当者)
当初は地元の民謡大会「仙北荷方節大会」(8月4日開催)を盛り上げ、「この小さな町に活気を取り戻したい!」という意気込みからスタートした商品企画だったよう。いわば、PRのために思い付いたシステム。
しかし、噂が噂を呼ぶ。大会が終わった後もこのお酒の評判が一人歩きしてしまい、現在でも注文が途絶えることがない状況だそうだ。

では、肝心の歌い手についても。こちらは「仙北荷方節大会」にて平成15、16、22、25年と、計4回もの優勝経験を持つ高橋一郎さんが担当している。
「現在のスマホの音源は、高橋一郎さん優勝の時の唄です」(担当者)
この高橋一郎さん、実はシンガーソングライター・高橋優の父でもあるらしく。そういう意味でも評判を呼び、今では全国(特に秋田県)からの注文が相次いでいるという。

最後に、民謡「仙北荷方節」について。荷方節という題名からは労働歌と思われがちだが、これは祝い事や神社の祭礼などには欠くことのできない“祝い唄”だそう。
「素朴ですが、民謡の愛好者には大変人気の高い曲の一つです。金沢の八幡神社、六郷の熊野神社では毎年『仙北荷方節』の節廻しによる『かけ唄大会』が行われています」(担当者)

自宅にいながら、秋田の魅力を「喉」と「耳」から味わうことができる。ちょっと、擬似旅行している気分になります。
(寺西ジャジューカ)