『お守りフリスク』『人面岩ハヤシライス』等、くだらなさ全開の乙幡啓子展
本題に入る前に、簡単なプロフィールから。
乙幡啓子 ： 群馬県生まれ。周囲と微妙にズレた学校生活を送ったのち、7年間の会社勤めを経験するが、自分探しのため退職。親に「将来、何になるつもりだ」と言われるが、手を動かすことが好きだったため、工作に没頭するように。奇想天外な工作が話題を呼び、NHKやTBSラジオなど多数のメディアに出演。『デイリーポータルZ』でおなじみ。
それでは、乙幡さんの新作を紹介。まずは…
『お守りフリスク』
一見、お守りに見えるが、フリスクのケースにオリジナルのラベルと、お守りっぽい紐をつけた逸品。学業御守、家内安全、恋愛成就、安全祈願、交通安全、商売繁盛の6種類。
――確かに見た目からして、お守りっぽい！
「フリスクって、眠気が襲ってきた時に食べたり、シャキッとしたい時に食べますが、あの頼れる感じがお守りに似てるなーと思って、自分でデザインしたラベルをつけてみました」
しかも、ケースの裏には
「舎奮拾篤」……。（←SHARPENS YOU UP）
※もちろん、非売品である。
『火星の人面岩ハヤシライス』
「火星の人面岩」は、火星表面にある人の顔を思わせる巨大な岩のこと。数回にわたって発見されて話題に。乙幡さんは、そんな人面岩ふうのハヤシライスを作っちゃいました。（PCの方は下の方にある写真参照）
――なんだか、笑ってますね。
「ハヤシライスソースのかけ方によっては、笑ってるように見えます（笑）」
――人面岩のために、型を作ったんですか？
「私が案を出して、銅板の型を友人につくってもらいました。人面岩の型は、世界に一つしかありません！」
素晴らしき友情ではないか。ちなみに、この『火星の人面岩ハヤシライス』は、東京会場でオーダー可能。実際に食べてみると、肉がたっぷりで非常にうまい。
※岩の味はしません。
ひっくり返す醍醐味が！ 『餃子リバーシ』
餃子がリバーシになった！焼き目がある方を黒、ない方を白と見立てて遊ぶゲーム。しかも、ゲーム盤は鉄板の上。（PCの方は下の方にある写真参照）
――ぎょ、餃子ですか……
「そうです。餃子は鉄板でひっくり返すカタルシスっていうものがあるので、リバーシにするといいんじゃないかと思いまして」
――鉄板を利用したゲーム盤に、ちゃんと64マス分の線がひいて引いてありますけど、こちらもご自分で？
「もちろんです。キャンプで使うような黒い鉄板を買ってきて、ヤスリの先っちょでカリカリと削って真っすぐな線を引いていきました」
餃子はシリコンで型をとって、樹脂を流し込んだもの。しかも、リバーシといえばマグネットということで、ちゃんと“具”としてマグネットも入っている。鉄板にピタっとくっつくのだ。
「遊ぶなら、絶対に黒（焼き目のついた餃子）の側でプレーするのがおすすめです。白い餃子をひっくり返す楽しみが味わえるので」
なるほど。確かに、黒い餃子を白い餃子にひっくり返す方は、なんだか複雑な気持ちでゲームをすすめることになるのだ。いわば、カタルシスの真逆。
『テディ・ベア』ならぬ、『テディ・クマムシ』
人気急上昇中の「クマムシ」をぬいぐるみに！（PCの方は下の方にある写真参照）
「本家、テディ・ベアに比べて、脚の数が2倍なので苦労しました（笑）」
節が多いという点も大変だったそうで、乙幡さんは「とにかく節が多いんです！」と、5回も話していた。
群馬県人注目！！ 『群馬鶴』『焼きまんじゅうネックレス』
（PCの方は下の方にある写真参照）
『群馬鶴』：一見、カラフルな千羽鶴に見えるが、よく見ると一つ一つが鶴ではなく群馬県の形をしている。
※乙幡さんは群馬県出身
――頭の中に、クエスチョンマークが飛び交っている方も多いと思うのでお聞きしますが、なぜ群馬県の形で作ったんですか？
「群馬県は『つる舞う形の群馬県』と言われていて、県の形が羽を広げた鶴のように見えるんです」
群馬県が鶴の形をしていることは、群馬県人のバイブル『上毛かるた』にも出てくるため、群馬の人にとっては有名な事なのだそうだ。
「群馬県以外の方には、説明しないと分かってもらえないので、そこで苦労してます（苦笑）」
――紙は、全部を一人で群馬県の形に切ったんですか？
「よくぞ、聞いてくれました。カッティングマシーンを買うのもアレだったんで、毎日せっせ、せっせと一人で切ってました。でも600を超えたところでギブアップしちゃいました。あぁ〜、私は一体、何をしてるんだろうかと思いましたね・・・」
あぁ、なんと地道な作業であろうか（涙）。
群馬県ネタの作品といえばもう一つ。
『焼きまんじゅうネックレス』：文字通り、群馬名物の焼きまんじゅうをネックレスにした逸品。
――あ、あのぅ〜〜、焼きまんじゅうって何ですか？
「（一瞬、顔が凍りついたあとで） え〜〜っと、こちらも群馬県以外の方は知らない人が多いと思いますが、蒸して作ったまんじゅうを竹串に刺して、黒砂糖や水飴で甘くした濃厚な味噌ダレを塗って、焼いて焦げ目をつけたものです」
――ありがとうございます。一生、忘れないようにします。どんな味ですか？
「あまじょっぱいですね。口のまわりがベタベタしますけど」
※もちろん、乙幡さんの作品は食べられないが、非常によく出来ている。（非売品）
乙幡さんの個展『乙幡脳リアル博覧会with消しゴムはんこ』は、10月14日（祝）まで高田馬場１０℃cafeで開催中。その後、名古屋、京都、松山で開催される。
乙幡さん「見ているうちに、気が楽になる作品ばかりです。特に『半沢直樹』のような環境にいる方は、嫌なことを忘れられるんじゃないかと」
さぁ、半沢直樹も、大和田常務も、黒崎検査官もぜひ！（取材・文／やきそばかおる）
乙幡さんの個展のお知らせ
『乙幡脳リアル博覧会with消しゴムはんこ』
http://blog.mousou-kousaku.com/ （乙幡さんの「妄想工作所」）
・記事で紹介した作品以外にも多数展示しています。
【東京】高田馬場１０℃cafe 〜2013年10月14日（月・祝）
【名古屋】新栄Cafe Dufi 10月17日（木）〜10月29日（火）
【京都】河原町Second Royal 10月31日（木）〜11月4日（月・祝）
【松山】 the 3rd floor 11月21日（木）〜24日（日）
※詳細は『妄想工作所のブログ』にて。 ※各会場にてワークショップを開催。
※「ウチのギャラリーでも個展を開いてほしいよ〜」という方も、まずはご相談を。
■近著『笑う、消しゴムはんこ。 かんたん、たのしい、おもしろい』（乙幡啓子著：世界文化社）
http://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/13235.html
ウケる！ 笑える！ 見せたくなる！「おもしろい」を徹底追求した消しゴムはんこの新機軸。誰も彫らなかった図案が満載。
