Web女子に「個としての輝き」を!久谷女子が面白い

写真拡大

皆さんは『久谷女子』という同人誌をご存じでしょうか?
『久谷女子』とは……
「WEB女子(インターネットを愛してやまず、インターネットがなくなったら生きて行けないかもしれないぐらいの、割と古参ユーザになりつつある女子)による、ネット界隈のよしなし事を語るコラム本を気まぐれに発行する同人サークルという、WEBに親和性の高い女性たちによる同人誌。同人誌とはいえ、有名な編集者やライターの方が多数参加している『久谷女子』、今回は「Web女子と結婚」がテーマ。WEB女子の結婚と結婚生活について取り上げています。

■新婚さんはネットのカリスマ?
今回、「新婚さん」としてインタビューに登場するのが、川上量生・ドワンゴ会長や笠原健治・ミクシィ会長など、ネットユーザーであればだれもが知っている有名人たちです。

普段はネットのインタビューなどで日本のインターネットの未来について語っている彼らが、二人のなれそめや、奥様に送った手紙の内容、夫婦喧嘩はするのか、夫婦の間の連絡はどうとっているのか、はては奥様の作るメニューで好きなものがどんなものなのかまで語っていて、ネット有名人の夫婦生活がどんなものか伺い知ることができます。その中でも異彩を放っていたのがメディアアクティビスト・津田大介氏の奥様のインタビュー。ものすごく男前(失礼)な受け答えで読んでいるこちらが惚れそうなインタビューは一読の価値があります。

ただ、それら有名人のインタビューがある一方で、久谷女子のメンバー自身の「夫」へのアンケートもあり、「(自分が)twitterをやっていてもキモがられなくていい」とか「妻がiPhoneをいじりすぎて困る」なんていう、いかにもweb女子な夫からの意見もあります。

また、「結婚するよりも仕事してお金稼ごうぜ」という家入明子氏や「結婚反省会」と称して離婚について語っている水谷さるころさんのコラムもあり、単純に結婚を薦めているわけではなく、結婚のデメリットや結婚生活で悪戦苦闘していることも含めてまるごとレポートしているので、web女子に限らず、結婚生活に興味のある人は楽しんで読むことができるのではないのでしょうか。

『久谷女子』を一通り読んで思うのは、登場する夫婦達がみな、家事のやり方からネットの使い方まで、実にバリエーションに富んでいること。中には何組もの夫婦が登場しますが、一組として同じ夫婦はいません。

そもそも、私たちが結婚する(結婚しようとする)時に一番困るのは、結婚しようとしても、双方の仕事の質・量から住むところ、家事の負担割合、子供の有無、両親との関係まで、結婚生活に関するありとあらゆることが「どうすればいいのか、どんな家庭を築けばいいのか誰もわからない」ということでした。

そんな中でWEB女子たちの提示する「家庭」は、とても自然体だと感じました。そしてそれは家族でコミュニケーションを取りながら、その家族にとって一番しっくりくる「家庭」のあり方を探した結果であるように感じられました。彼女らが提示するこの「家庭」は一つの指針になるのではないのでしょうか。
(古田ラジオ)