中国流通業で始まる「川下から川上」現象
日本経営管理教育協会が見る中国 第270回−大森啓司(日本経営管理教育協会会員)
中国と日本のスーパーの違いとは?
いきなりだが、日本のスーパーと中国のスーパーの大きな違いは何であろうか?
中国のスーパーには、「おもてなしの心がない」「棚は商品が並んでいるだけで雑然としている、整理整頓ができていない」など、種々の違いはあるが、中国はまだまだ成長期、やはりメーカーが提供する商品を販売するという基本的な方針があるということではないだろうか?
日本の経済成長期には業種は違えど「3種の神器」として、持つことによる優越感があった事は否めない。しかし今、中国のメーカーがこぞって小売業の分野に進出し、消費者の情報を収集しようという動きがでてきている。今回はこの大きな流通の変化について触れていみたい。
「ワハハ集団」が小売業に本格進出
3年程前にNHK特集にも報道された「ワハハ集団」、創業者の宗慶後氏は42歳から本格的な事業を開始、「ワハハ集団」を中国トップの飲料メーカーに育てあげた。
最初は毎日のようにリヤカーを引いて商品を運びながら、消費者の声を聞き続けたことは決して無駄にはなっておらず、現在同社は全国29の省に約60ケ所の工場を持ち、飲料だけではなく、食品・粉ミルク・子供服なども製造している。(ワハハ集団公式サイトから)
2年前には日本の某ヨーグルト会社を買収するなどで話題になったこともあり、中国通の日本人であればご存じの方が多いだろう。その「ワハハ集団」が、過日の広報によると、今後3~5年以内に中国全土で100店舗のショッピングセンターを開設するとの事である。筆者はこの記事を見た際に、来るべき時が来たのか?と感じた。
日本においてもメーカー主導型で進んできた流通形態も、成熟期を迎えると「物」が売れなくなり、メーカーがあわててアンテナショップを出店する現象が1980年代に続いた。今回の小売業進出は、メーカー卸小売の3者間には「リベート」という不透明な商習慣が残っており、事業収益をあいまいにしてしまう傾向にあり、これを解消することも大きなねらいとしてあると判断できる。
中国の流通業も「川下から川上」状況に突入
日本には流通業で昔からよく言われる言葉に「問屋無用論」がある。この言葉が言われて50年程になるが、実の「卸売業」は役割を変えながら、その存在意義を残している。その機能は物流から情報提供、そしてリテールサポートと、時代の流れに合致した存在感を残し、付加価値をつけている。
今回のワハハ集団の小売業進出は、その「問屋無用論」を裏付けるような戦略であるが、果たして日本と中国の違いでうまく包含していけるのであろうか?流通業を専門にしている一専門家として今後の動向が注目される。
写真は中国ワハハ集団の飲料。(執筆者:大森啓司・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
