会見に出席したベルナルド・ベルトルッチ監督
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 第70回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査委員長を務めるイタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督が現地時間28日、記者会見を行った。その席上で映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラ氏が、ベルトルッチ監督から審査委員長就任を一度断られたことを明かした。


 今年は70回の記念大会とあって、映画祭側は当然ながら自国を代表する巨匠に白羽の矢を立てた。しかしベルトルッチ監督は、1983年の第40回大会でも審査委員長を務め、1990年の第43回カンヌ国際映画祭でも同じく審査委員長を歴任している。その際、受賞作を選ぶ苦悩を体感したことから、三たび大役を引き受けることを固辞したという。


 しかし、諦めきれなかったバルベラ氏は、今年4月に長文の手紙をベルトルッチ監督に送付し、再度説得。これがベルトルッチ監督の心を動かしたようだ。ベルトルッチ監督は「どういうメンバーがコンペ作を選出しているのか担当者の名前まで書いて挙げており、自分たちの仕事に対する責任感を感じた。特に、若いスタッフの情熱に刺激を受け、引き受けることに決めた」と説明。「まあ、後悔するかもしれないが」と付け加えることも忘れず、会場の笑いを誘った。


 ただし、当初コンペ作は18作だったが、最終的に20本になったことで「ベルトルッチ監督に怒られた」(バルベラ氏)とか。それもベルトルッチ監督の「1日2本の予定が、うち2日間は3本観賞しなければならない。そうすると3本目はどうしても疲れた目で観ることになってしまう」という、あくまで公平に作品を審査したいという思いからだったようだ。


 そんなベルトルッチ監督に記者から審査基準について質問が飛ぶと、「わたしに驚きを与えてくれる作品」という答えが返ってきた。果たして、日本から唯一コンペに選ばれている宮崎駿監督『風立ちぬ』が、衝撃を与えられるかどうか? 現地時間9月7日の審査結果が楽しみだ。


 ほか、審査員はベルトルッチ監督作『ラストエンペラー』の音楽を担当した坂本龍一、中国のチアン・ウェン監督、米女優キャリー・フィッシャー、仏女優ヴィルジニー・ルドワイヤンらが務めている。(取材・文:中山治美)


第70回ベネチア国際映画祭は現地時間9月7日まで開催