しかし、今はそのくらいのつもりでデフレからの脱却を第一優先で徹底的に貫き通し、それが日本国民や世界中に伝わっていくということが「アベノミクス」を成功させるうえでも大変重要になるのです。

経済もやはり「気」であって、景気に「気」という字がなぜ当てはめられているかということをよく考えてみるべきで、元気の「気」と同じように経済を元気にしようと思えば、そういう「気」は国民に伝わるものです。言い方を変えると、消費者も投資家も皆そういうマインドになり、そして世界の人々もそういうふうに思っていくわけで、このマインドの醸成こそが非常に大事になってくるということです。

日銀の誤った金融政策の下、日本はこれだけ長期にわたってデフレと円高に悩まされてきたわけですから、この問題が解消すればさまざまな事柄が大きく変わってくると思います。

企業の収益状況も変わってくるでしょうし、これまで世界中から無視されてきた日本株が、再び投資対象として世界中から見直される時期にきていると私は認識しています。一言で言えば、「谷深ければ山高し」ということなのだろうと思います。

北尾吉孝(きたお・よしたか)
SBIホールディングス代表取締役執行役員社長

1951年、兵庫県生まれ。74年、慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村證券で事業法人三部長等を経たのち、95年にソフトバンク入社、常務取締役。99年、ソフトバンク・ファイナンス社長。現在、インターネット総合金融グループを形成するSBIホールディングスの代表取締役執行役員社長。『何のために働くのか』(致知出版社)など著書多数。「face book」にてブログを執筆中。




この記事は「WEBネットマネー2013年4月号」に掲載されたものです。