本来、統一球の導入は、低反発のボールでも強く打ち返せるパワーをNPB選手に身に付けさせることが目的だったと思われる。

しかし、NPB各チームはパワーアップではなく、“打てない”ことを前提にした作戦を取るようになったと思われる。
つまり、スモールボールが進展したのだと。

これを検証してみることにした。2004年から昨年までの各球団の打撃成績に見るスモールボールの各要素、犠打=SH、四球=BB、盗塁=SBの推移とその1試合当たりの数値を出した。盗塁については盗塁死も含めた企図数で調べた。四球は敬遠四球を差し引いた数字で出した。参考までに、犠飛、本塁打の数値も出した。

SH-NewBAll20130117


各球団でばらつきがある。
四球は減っている。これは予想されたことだ。統一球導入とともにストライクゾーンも広くなったからだ。ただ、その減り方は大きくない。ストライクゾーンが広がったにもかかわらず、打者がじっくり球を見るようになったからだろう。

盗塁もそれほど増えていない。次の塁を奪うための積極的な作戦を取った球団は少ないのだ。

犠打だけが、2010年の1試合当たり0.86から1前後へと増えていることが分かる。各チームは1試合に1度は送りバントを使っているのだ。
MLBでも送りバントは意外に使われている。しかし、それは試合中盤以降に限られる。序盤戦は走者が出るとビッグイニングを狙うのが常道だ。
2012年のMLBのSH/Gは、アリーグが0.20、ナリーグが0.39。投手が打席に立つナリーグの方が使用頻度は倍近く多いが、それでもNPBの半分以下だ。
犠飛は大きな変動はない。

犠打については、さかのぼって調べていくと、2006年に0.6前後から0.8前後へと急上昇していることが分かる。この年、ルール改正など何らかの変化があったのだと思われるがよくわからない。



統一球導入によってNPBは、送りバントをよく使うようになったが、それ以外はあまり変化がない。積極策に出るのではなく、打てないことを前提に縮小均衡している印象だ。
犠打にしても、激増しているわけではない。

NPBのオフェンスは冷え切っている。打者は消極的になっていることが、ここからもうかがえる。スモールボールというよりは、プアボールという感じがする。