FW 前田 7 楽勝のゲームで、センターフォワードがスタメンフル出場するケースは珍しい。それほど前田はよかった、チームにフィットしていた。後半6分の2点目は、そのトラップ技術の高さを証明した彼らしいゴール。あれを見せられるとハーフナ―に出番はない。

※ 交替選手
DF 酒井 6 内田よりずいぶんよかった。弱者を上から見下ろすプレイができていた。しかし、アーリークロスには疑問を感じた。選択が安全策に見えた。交替で入って、体力的に余力があるのだから、ゴールラインまで行って、鋭角に折り返す勇敢なプレイをして欲しかった。より決定的なシーンを演出することが、レギュラーへの道、ワールドクラスへの道だと思う。単純なアーリークロスは、世界的には凡庸。3―4―1―2時代のウイングバック(ウイングハーフ)的な、一昔前のプレイに他ならない。

MF 清武 6 出場時間は17分+2分。その中で岡崎以上のプレイを見せることができたかといえばノー。可能性は感じるが、それを形にすることはできなかった。

MF 細貝 採点不能 出場時間は4分+2分。これでは採点はできない。ザッケローニは、少なくとももう5分早く彼を投入すべきだった。

※ ザッケローニ監督 6 可もなく不可もなく。問題は1年前とスタメンに変わりがないことだ。日本サッカーはこの間、動いていないことになる。この予選の中で、動かしていかないと、岡田監督時代と同じ運命を辿ることになる。この時期にスタメンを固めると、最後に失速することは見えている。これから現在の11人をどう崩していくか。この予選は「絶対負けられない戦い」ではあるが、4.5枠もある緩い戦いだ。実はテストはしやすい環境にある。いま最も問われているのはザッケローニの代表監督としての器に他ならない。

 最後にお知らせを。来る6月8日、僕の書き下ろしの新刊がPHP研究所から発売されます。

「ドーハ以後」ふたたび 世界から見た日本サッカー20年史

 98年5月、それまでの4年半の出来事をまとめた「ドーハ以後」(文藝春秋刊)を刊行してから14年、いま改めて日本サッカーを振り返ると「当時はよかった」と思わずいいたくなります。当時の日本サッカー界は、いまより断然盛り上がっていました。W杯のアジア枠が拡大し、予選突破が当たり前になった今日の状況が恨めしく感じられます。今予選でオマーンに3―0で順当に勝利を収めると、なおさら「あの興奮をふたたび」の思いは強くなります。

 その思いを込めて448ページに及ぶ長編大作??を書いてみました。ソフトカバーですが、手に取るとずしりと重い一冊です。

「悲劇よ、ふたたび」。正直に言えば、この思いになります。「ドーハの悲劇」に匹敵する劇的かつ鮮やかな敗戦を、来るブラジルW杯本大会で拝みたい。その現場に立ち会いたい。そうした思いのほどを、ぶつけてみたつもりです。
 ご興味のある方は。ぜひ。