僕は横浜出身で、いまは大阪に住んでいるのだけど、関東と関西とではやっぱり「文化が違うなー」と感じることがある。


ちなみに僕が関西に来てカルチャーショックを受けたことを挙げると、
・飲食店などの店員さんがやたらとフレンドリーに話しかけてくる(関東では滅多になかった)
・街を歩いていると、けっこうな頻度で「変にウケを狙った看板」を見かける
・「たこ焼き器」というものが各家庭に普及していて、ヨドバシカメラに「たこ焼き器コーナー」がある
・通天閣に行った時、エレベーターガールが「大阪のオバちゃん」だった
などなど、枚挙にいとまがない。


中でも「関西人のキャラクター」にフォーカスした場合、やっぱりお笑いの本場だけあって、「とりあえず面白ければ許される」的な風潮があるのには驚いた。
僕がむかし東京で働いていた時には、ミーティングの席でひとこと冗談を言っただけでも「おい、なに冗談言ってんだお前!」と上司に一喝されたビターな思い出があるんだけれども、関西では逆に「ピンチの時にも、相手を笑わせて切り抜けられる」人間こそ「できる奴」と見なされるところがある。
上方漫才の大御所・上岡龍太郎がかつて、遅刻をして謝罪をしにきた弟子に対して「遅刻して謝るより笑わせてみんかい!次からは『すみません、向かい風がキツくて』と言え!」と叱ったそうだけど、そんなふうに「笑いのセンス」が重視されるのも、関西ならではの文化だろう。


というわけで前置きが長くなったけど、アイスランドのソルステインソンが見せた “ハンドスプリングスロー” に長居の観客が大盛り上がりだったのは、そこが「大阪だったから」というのもあったんじゃなかろうか。
セルジオ越後さんはツイッターで「相手のスローインで湧いているようではダメだ。」と怒ってらした。
でも大丈夫ですセルジオさん、それはあの場所が「大阪だったから」なんです。


大阪のお客さんたちにとっては、
→たった1分で前田が先制(マジで?「出オチ」やん!)
→お祭り男・槙野が1ゴール1アシストの大活躍(ついでにロスタイムにPK献上のオマケ付き)
→アイスランドのハンドスプリングスロー(そういや昔、あんなの流行ったなー)
→調子に乗って「そーれっ」の大合唱
→何となく後に引けないままハンドスプリングスロー連発
→セルジオ激怒
まで含めての、アイスランド戦という一大イベントだったのです。
たぶん。。。

代表に見えた課題と光明



確かにこの試合、ゲーム内容だけを見れば、ワールドカップ予選に向けての「調整試合」の域は出ない一戦だった。
ただそれでも、日本の選手たちは総じて好プレーを見せてくれていたと思う。


失点も含めて全得点に絡んだ槙野智章が目立っていたのは異論がないところだけども、個人的には「別格」のクオリティーを感じたのは遠藤保仁、今野泰幸、中村憲剛の3人だった。
そしてこの3人ほどではないけれども光っていたと感じたのは、ボランチで遠藤と組んだ増田誓志である。


ボランチのポジションは現在の日本代表のアキレス腱だと言ってもいい。
今は遠藤保仁と長谷部誠のコンビが不動の地位を築いているけれども、既に32歳になった遠藤に「もしもの事」があった場合、その穴を埋める選手を確保しておくことは危急の課題となっている。


攻撃的なボランチの候補としては、トップ下もこなせる中村憲剛、柏木陽介あたりの名前が挙げられるだろう。
ただし31歳の中村は遠藤と同世代であり、現在の水準をワールドカップまでキープできる保証はない。
対する柏木もA代表で出場した試合では、まだ周囲を納得させられるだけのプレーを見せられていない。
かと言ってU-23世代の選手たちも未知数な部分が多く、遠藤の明確なバックアップが見当たらないのが現状だ。


その意味でも、増田にある程度の目処が立ったことは明るい材料だった。
確かに本人も認めているようにまだ課題も多く、もっと得点に絡むインパクトのあるプレーを期待したい面もある。
それでも、この日の増田はリンクマンとして頻繁につなぎ役をこなし、前線に上がって相手のマークを引き連れては、味方にスペースを作るような動きも見られた。
さらに危険なスペースを埋めるカバーリングで、ディフェンス面でも機能していたように思う。
もちろん遠藤・長谷部の牙城を崩すほどの域には達していないけれど、今後の成長次第では面白い存在になれるのではないだろうか。


何はともあれ、快勝で弾みをつけたこともあって好調を維持しているザック・ジャパン。
水曜日のウズベキスタン戦では海外組も合流して、期待通りのゲームを見せてくれるのではないだろうか。


ちなみに余談ながらこのアイスランド戦、僕は大阪に住んでいながら現地観戦しませんでした。
理由?
ハイ、じつは金欠………もとい、えーっと、「向かい風がキツかったから」ということで…!!