『ずるい考え方 〜ゼロから始めるラテラルシンキング入門〜』(木村尚義・著/あさ出版)

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「3人の子どもに13個のオレンジを公平に分けるにはどうしたらいいでしょうか?」――ページをめくると、こんな“クイズ”からはじまる。書籍『ずるい考え方』(木村尚義・著/あさ出版)は、「ラテラルシンキング」を扱った入門書。

「ラテラルシンキング」とは、まっすぐに筋道立てて解答を導いていく「ロジカルシンキング」とは異なり、タテ・ヨコ・ナナメいろいろな角度から“常識”や“先入観”の枠にとらわれずに解答をもとめる思考法。解答はひとつではなく、時にはジャンプしていきなり到達することもできるのがラテラルシンキングの特徴。
冒頭のクイズの答え、「4個ずつ分けて余った1個を3等分する」のはロジカルシンキングの発想。ラテラルシンキングの答えは本書をチェック!

気になったのが「ずるい」というワード。本書で扱うのは、「はじめに」で書かれている「人を出し抜いて非難されるような『ずるい』ではなく、思いがけない発想で、周囲をくやしがらせる『ずるい』」のほう。
「『ラテラルシンキング』の思考法を一言で説明する、わかりやすい“キーワード”を見つける必要がありました。『ラテラルシンキング』の“正攻法ではない部分”が、客観的にどう評価されるかを考えたときに、エッセンスをもっともよく表すこの言葉が思い浮かびました。ただ、どちらかというと悪い意味で使われる言葉なので悩んだのも確かです。しかし、『ラテラルシンキング』を使った問題解決の“鮮やかさ”を表現するには、これ以外はないと考えました」(あさ出版の編集担当者)

本書を作り上げていくにあたって心がけたのは、“入門の入門書”として読んでもらえること。
「『ラテラルシンキング』というのは、自分自身がとらわれている考え方の枠組みを、大胆に取り払うような思考法です。ですから、決して難しいものではありませんし、むしろ楽しくてワクワクする考え方です。その面白さを実感してもらうために、文章のリズムやページ展開などを工夫し、よりスピーディーに読んでいただけるようにしました」

本書は、ラテラルシンキングを身につけるための考え方をやさしく教えてくれるのみならず、「クリスピー・クリーム・ドーナツ店に長い行列ができた理由」をはじめ、事例がたくさん載っていて、読み物としても楽しい。
「『ラテラルシンキング』が机上の理論ではなく、実生活の中で応用できるツールであることを強調するために、類書より多く事例を入れたいと思いました。著者の木村さんにも、ふんだんに実例を挙げていただいたのですが、最後にはさすがにネタ詰まりになり、『ウーン』とうなってかたまってしまうほどに……(木村さん、すいませんでした)」

特にどういった読者に手にとってもらいたいですかとの質問には、「まじめに取り組んでいるのに、なかなか成果が上がらない人」、「要領が悪くて、いつも損ばかりしている人」、「『努力』『根性』『忍耐』という言葉が嫌いな人」と答えてくれた。
「私のことだ!」と思った人に読んでほしい1冊です。
(dskiwt)