石巻の方々には認められた、地域の味を活かしたラーメン。

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東日本大震災の発生から7カ月が過ぎた。復興にはまだまだ時間がかかるかもしれない。だけど、ただ手をこまねいているだけではない。「少しでも、地域の力になれたら……」といった心意気を、宮城の大学生が見せてくれている。
石巻専修大学の石原慎士准教授(経営学部)が指導する「石原ゼミ」では、サバのあらで取っただしをスープにした『サバだしラーメン』を開発。このラーメンで、水産関連産業の復興につなげたいと考えているようだ。

ちなみに、石原ゼミ生が研究しているテーマは「地域産業論」。“まちづくり”だったり“地域ブランドの形成手法”について、実践的な考察を行っているという。
そこで、今回のラーメン。石巻市飯野川地区では、昔から「サバだし」を料理に活用する文化があった。例えば、ソースかつ丼のソースに使われていたり、カレーやラーメンの隠し味として利用されることも。
その隠し味を前面に押し出し、新たな石巻のブランド商品として『サバだしラーメン』が開発されたのである。

ただ、疑問がひとつ。そのサバは、一体どこから仕入れているのだろう? 現時点では、石巻からサバを入手するのは難しいと思うのだ……。
「今は、八戸からサバを仕入れております。石巻漁港は復旧途中であり、震災以前のようにまとまった量が水揚げできない状況ですが、地域にエールを送る意味で敢えてサバを使った料理を開発しました」(石原ゼミ・小野寺さん)

飯野川商店街の方々から“臭みの抜き方”などを教わりつつ、ゼミ生たちによって、この『サバだしラーメン』は出来上がった。
「ゼミで開発したラーメンは“しお味”になります。サバだしをスープに使ったことで出た甘みも活かされました。また、魚独特の臭みはありません」(小野寺さん)
“しょうゆ味”と“みそ味”も、現在開発中とのこと。

実は既に8月、彼らの『サバだしラーメン』は初お目見えを果たしている。地元の歩行者天国にてラーメンの試作品が販売され、好評を獲得しているのだ。
「当日は『サバのだしと香りが、シッカリ出ているね』と、地元の方に美味しく食べていただきました」(小野寺さん)

聞けば聞くほど、私も食べたくなってきた。そこで質問したい。このラーメンを、他の地域に住む人が食べることはできないのだろうか? 例えば、インスタントラーメンにして配送したり……。
「やはり、今は『石巻でしか食べられないラーメン』として印象付けていきたいと考えております」(小野寺さん)
ただ、頑なに拒否しているわけではない。もしもお声がかかれば、将来的にそういった展開も有り得るのかも。現段階では“地域ブランド”としての確立を第一に考えているようだ。

では、どこに行けば食べられるのか?
「飯野川商店街の5店舗で、『サバだしラーメン』がメニューとして出されています。お店では我々が作ったラーメンではなく、商店が考案した『サバだしラーメン』が販売されます」(小野寺さん)
これは、石原ゼミが商店街に提案して実現した地域活性化の動きである。商店ではサバだしを使ったつけ麺だったり、味噌ラーメンや醤油ラーメンなどが展開されている模様。

「ゼミで開発した『サバだしラーメン』は、学園祭などで発表していきたいと思います」(小野寺さん)
とりあえず、話を聞いてるだけで美味しそうだ。近くに寄った方は、是非食べてみてください! そして、感想を教えてください。
(寺西ジャジューカ)