白球が様々なドラマを見せてくれます。

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10月1日から山口県で開催される国体。2日からは公開競技の高等学校野球がスタートする。
夏の甲子園で圧倒的な強さを見せつけ10年ぶり2回目の優勝を飾った西東京代表の日大三高も出場する。

少し前の話になるが、夏の甲子園では、決勝の対戦相手・青森代表の光星学院も十分に強豪チームだった気がするが、終わってみれば11-0という大差がついていた。

そういえば、昨年2010年の決勝戦も、<興南 13-1 東海大相模>と、10点差以上。2008年も、<大阪桐蔭 17-0 常葉菊川>、99年には<桐生第一 14-1 岡山理大付>、82年<池田 12-2 広島商>など、決勝戦は意外なほど10点以上の大差がつく試合結果になることが多い気がする。
春のセンバツ大会の決勝をみてみても、2006年<横浜 21-0 清峰>、2003年<広陵 15-3 横浜>など夏同様に大差のつく決勝戦であることは多い。

ともに激戦を勝ち進んできたチーム同士で臨む決勝戦。どうしてそれがワンサイドゲームになりがちなんだろうか。長年高校野球を取材する記者に聞いてみた。
「決勝で点差が開く理由は、大きくは2つあると思います。ひとつめは、やっぱりエースが力尽きてしまうということが多いですね。もうひとつが、組み合わせなどの理由で、単純に力の差が合った場合です」

日程が進んでくると、どうしても連投になってしまうため、特に投手に負担がかかることになる。
「2008年の常葉菊川の時は、エースの戸狩が肘を痛めて決勝では投げられる状態でなかったのが一番の原因ですね。岡山理大付の早藤も、連投の疲れでサンドバック状態になってしまいました。昨年の東海大相模の一二三も、本調子からはほど遠く、ゲームを作ることができなかった。このように、連戦でのエースの疲労のためにゲームが壊れてしまうパターンが多いと思います」
そこに、相手チーム打線が襲いかかるということになることが多いようだ。

光星のエース秋田は、決勝でも疲れを感じさせないようなほど大きな音でミットを響かせていたとのことだが、日大三の打線が、それ以上に強かったのでは、とみている。
「本格派の秋田を、木っ端微塵に打ち砕いた日大三の打撃力がすごかったというのが今年の決勝だったと思います。プロに行ってもおかしくない打者が、何人もいるような印象でしたね」

優勝することを見据えた場合、監督も逆算しながら選手を起用することが多いと、同記者は言う。
「決勝にエースをいい状態でもってくるために、いかに休ませるか、負担をかけさせないかということを考えますね。後半の連投ですべて全力投球はありえないですし。斎藤佑樹がこのタイプなのですが、日大三の吉永も、いかに疲れずに投げられるかなどの計算が自分でできるクレバーなタイプですね」

今年の夏の甲子園を、こう総括してくれた。
「日大三が勝ってきた学校、日本文理、開星、智弁和歌山、習志野、関西は、すべて強豪校でした。それらを力でねじ伏せて来ての決勝でしたから、『日大三のための大会』だったといえるかもしれません。やっぱり強かったなぁという感じです」

2日からの国体でも、日大三高の強さに注目したいところだ。
「甲子園で負けた学校も、打倒日大三を果たせるかどうかに燃えているでしょうから、楽しみですね」
(太田サトル)