国際環境団体グリーンピースの海洋調査を断った国家は世界に2ヵ国しか存在しない。ひとつはインドネシア、もうひとつは日本である。

 4月20日、グリーンピースジャパンは福島沖の放射能汚染を調べるため、海洋生物のサンプリング調査の申請を日本政府に対して行なった。

 海洋調査はグリーンピースのお家芸ともいうべきものだ。過去数十年にもわたって、世界中の海の調査を行ってきた実績を持つ。

 近年ではフランスでの放射能漏れ事故や米国でのタンカー事故の際の水質調査も行なってきた。

「グリーンピースの調査が必ずしも正しいわけではない。どちらかというと政府に対して厳しい数字になりがちだ」

 こうした批判があるのは事実だ。またそれは日本国内において顕著である。だが、仮にそうだとしても、日本政府の海洋調査とグリーンピースのそれでは、その信頼性において雲泥の差がある。

 もちろん、今回の福島第一原発の事故に限らず、当事国であり、海洋調査に関して国際的な実績の少ない日本のデータは、グリーンピースのそれよりも受け入れがたいものとなることは明白だ。少なくとも国際社会では間違いなくグリーンピースの信頼性の方が高いのである。

 そもそも日本政府は、今回のグリーンピースの申請があるまで、海洋調査そのものを行なう気配すらみせなかった。20日の申請を受け、慌てるように 25日にアリバイ的に調査を行なったにすぎない。

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