スナイデルの代表デビューは衝撃的だったらしい。その当時の管理人の記憶では、バルサのシャビデコやブスケツの位置で起用されていると聞いていた。そんなスナイデルに実際に出会ったのはアヤックスの試合だった。もちろん、テレビである。ポジションはほとんどFWであった。当時の監督はテンカーテ。ベンゲルによって、アンリがFWに進化したように、テンカーテによって、スナイデルもセカンドストライカーのように進化していた。なので、得点力はあるけれど、シャビやイニエスタのイメージとは違う選手になったわけである。

 そんなスナイデルだが、懸命に守備をしていた。ときにはいるべき位置にいないこともあったが、スナイデルにしてはかなり守備をしていたと言っても良い。逆サイドはサネッティなので言わずもがな。こうして、ちゃんとした4-4ブロックを手に入れたインテルは10人になって守備が安定する現象に見舞われることとなった。

 ラツィオからすれば、ガンガンいこうぜで間違いないんだろう。しかし、アウェーで先制&相手が10人の状況でいまいちピッチの中で攻めるのか守るのかの意思統一がなされていないように見えた。そこへ守備が安定したインテルが待ち構えているのだから、話は早いのである。左サイドのスナイデルが試合のペースを徐々にコントロールし始める。エトーに渡してカウンター狙ったり、ポゼッションをおちつけたり。

 ラツィオは前線の4枚が流動的なので、たまに守備の時にぽっかり穴があくことがあった。その穴によって、インテルが攻撃を仕掛けるチャンスを得る。そうすれば、10人でも我慢していれば、、、ということになりやすい。スナイデルの空けたスペースに長友は頻繁の飛び出し、マイコンも全盛期を思い出させるようなパフォーマンスで攻撃を牽引していった。

 で、前半の終了間際。ゴール前で得たFKをスナイデルが直接決めて、歓喜するモラッティ会長。落胆するラツィオの会長。後半になっても大きな流れは変わらず。そして、後半に単純なロングボールをラツィオのCBがすってんころりん。独走したエトーはGKをかわして、逆転ゴールを決めた。焦るラツィオを尻目に、インテルはプレスの位置を高めたり低くしたりと守備がかなり機能していた。途中から登場したマリガも元気いっぱいでインテルに活気をもたらしていた。

 そして、60分。長友が相手のボール奪取に成功すると、マウリが報復の蹴りで長友に応酬。もちろん一発退場で10対10になった。その長友は積極的なオーバーラップで味方に選択肢を与え、ボールを持ったときも積極的な仕掛けでコーナーキックを得ていた。というわけで、今日の長友は地味に大活躍。特に守備では一度だけしくじったくらいであった。

 ラツィオは4-4の外から効果的なボールを入れるために、エルナネスを中盤に下げる。しかし、インテルはオビが登場する。若手の気合のプレスの前に触発されたのか、マイコンがひとりで相手を追い掛け回したり、そのまま前線に飛び出していったりと、チームに活気が生まれていたインテルであった。非常に珍しいそんなインテル。ルシオもドリブルでチームを盛り上げていた。

 それでも、攻めていればチャンスは生まれるものである。しかし、そのチャンスはバーに阻まれるラツィオ。まさに今日は君たちの日じゃないよねって感じで試合は終了を迎える。こういう試合をすると、大きい選手が必要だって結論になりがちな気がする。でも、サラテは得意のドリブルで何度もチャンスを作っていたから、元気そうでよかった。

 ■独り言

 ラツィオのファンタスティックフォーもまだまだだなと、インテルの守備がかたくなったのはびっくりした。ただし、10人になる前からそんな波長はあったので、次節に期待が高まる。このように、レオナルドは地味に修正してくるので、一概に優秀でないと断言することができない。この試合の交代策も普通に機能していた。よくわからない監督である。もう一年見てみたいが、難しそうである。なので、長年監督をできそうなチームにいってほしい。日本にはこないかな。

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