22日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1 回戦のリヨン対レアル・マドリー戦。名門相手にCLで3勝3引き分けと無敗を誇るリヨンに“格下”意識はまったくなし。前半から中盤でコンパクトかつアグレッシブなプレスを徹底し、マドリーから攻撃の目を摘み取るとともに、逆に相手ゴールに襲いかかる。

 しかしフィニッシュの精度の低さが災いし、先制点を奪って相手にプレッシャーをかける理想の展開には持ち込めないリヨン。一方、攻めあぐむマドリーは65分、アデバヨールに代えてベンゼマを投入。ピッチに入ったベンゼマは最初に受けたパスでゴール前に突進、マドリーに先制点をもたらした。

 その後ゴミスのゴールで同点に追いつかれ対リヨン初勝利こそ逃したマドリーだが、アウェーゴールの有利は残る。チームの苦境を個人技で救ったベンゼマのゴールにどれほどの価値があったかは、チームメイト全員が熱烈に祝福したようすを見てもわかる。

 だが、チームメイトの輪の中でもみくちゃにされながら、当のベンゼマはうついむいたまま。ゴールの喜びを表すパフォーマンスはいっさい行わなかった。自分を育てたクラブとサポーターに対するリスペクトからだった。

 フランスのレキップ紙も、「このゴールを祝うことはできなかった。リヨンは僕のクラブ。ここで育ち、いまレアル・マドリーの一員となれたのもそのおかげ」と殊勝に語ったベンゼマの言葉を引用し、心身ともに成長したフランスのエースを称えた。

 古巣でのゴールといえば、思い出されるのは奇しくもベンゼマのライバルとなったアデバヨールが、昨年のマンチェスター・シティ時代にアーセナル戦でゴールをあげた場面。ゴールをあげるとわざわざ古巣のサポーターが陣取る反対側のスタンドまで全速力で走り、喜びを爆発させるという“挑発的”なパフォーマンスで怒りを買った。

 チームメイトやサポーター、首脳陣の信頼を得るのは、プレーだけからとは限らない。そして、ピッチで結果を出すには、こうした信頼が不可欠だ。ライバルのアデバヨールと好対照を見せたベンゼマの決定力と“男気”が、今後の明暗を分かつうえで重要な影響をおよぼしてくる可能性はある。