「個人情報は管理できる」という迷信
与謝野馨経済財政担当大臣政府が、国民全員に番号をつけた上で、社会保障や税の情報管理を一元化する共通番号制度の導入に向けて、推進本部を設置すると言いだした。住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)に、新たな情報を加えた上で、いわゆる国民総背番号制を実施しようという政府のもくろみが感じられる。
住基ネットの賛否が問われたとき、個人情報の漏洩に対する危機感を表明する人が多かった。いまは与党である民主党も、党をあげて反対していた。だが、いまは推進する側にまわっている。時の流れは、政治家の信条を変えてしまうものなのか。
DMを受け取って、まず感じるのは、我が家の住所やら子どもの名前を、なぜ業者が知っているのかということ。赤ちゃん関係で情報が漏れた可能性を考えると、病院の産婦人科や助産院、保健所、そして市役所(もしくは区役所)などが考えられる。
個人情報保護法では、さまざまな規定を設け、行政や業者が第三者に個人情報を漏らすことを禁じている。とはいえ、どんな罰則を設けても、世の中に山ほど存在する「情報を管理している個人」(法人であれ個人であれ)を規制することなど、ほとんど不可能だといわざるをえない。どれだけ徹底した管理をおこなっても、お金につられて情報を漏らす管理者はいるだろう。また、どれほどネットワークを強化しても、それが人の手で作られている限り、システムに侵入する者が登場すると思う。ようするに、個人情報というものは、提供してしまった時点で、漏洩する可能性があるという性質のものなのである。
つまり、個人情報の漏洩を防ぐ方法はただひとつ。情報を提供しないということだ。しかし、そんなことは無理である。個人情報の保護は重要なことだが、ある程度の漏れは仕方がないと妥協した上で、「国民総背番号制」にどんなメリットとデメリットがあるのかを慎重に検討していく姿勢が必要とされている。(谷川 茂)
※夕刊ガジェット通信
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