2010年は日中関係においては激動の一年だった。年の瀬を向かえた先日、『国際先駆導報』は駐中国日本大使館の横井裕特命全権公使にインタビューを行い、この1年の日中関係を振り返ってもらった。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 (3)日中米関係:中米間に日本の仲介は不要

 Q:日米両国は先日再び合同軍事演習を行った。演習の矛先は北朝鮮ではなく中国ではないかとの世論もあった。

 A:どの国の国民も、正常かつ安定した日米中の3カ国関係を望んでいる。簡単に言えば、3本足で立ったほうが、2本足より安定する。アジア太平洋地区において、この三国は非常に大きな影響力を持っている。お互いに適度な距離を保ちながら協力していくことで、構造的に地域の安定に有利になる。

 日本にとってみれば、米国は同盟国であり、日米関係は日本の外交にとって非常に重要な機軸だ。同様に、日中関係も日本にとってはもっとも重要な二国間関係であり、それはどれほど強調しても足りないくらいだ。しかし、最近の三国間関係を見れば、中国の経済成長には目覚しい発展を遂げ、同時に軍事力も増大している。周辺国家として急速な成長を遂げる国家に注目するということは当然のことだ。日本は中国の「平和的台頭」「調和社会の構築」「調和型国際関係」に大変注目しており、平和な環境を維持するため、日米中3カ国はそれぞれ継続的に努力していくことが必要だ。

 Q:日本が米中間の架け橋になれるとの見方もあるが。

 A:私は米中間に架け橋は必要ないと思う。中国にとって米国は非常に重要な国家だ。私は以前、2度ほど駐米日本大使館で勤務していたことがあり、ワシントンから北京を見たとき、米中関係は、日中関係とはまた違った形の非常に親密な関係だった。

 事実、米中間では、日米間での交流が開始する前の18世紀にはすでに貿易往来が始まっていた。人びとの交流も早い時期から行われており、米中間において、他の国が架け橋となる必要はあまりないと考える。日本は中国、米国それぞれとの関係の安定化を図ることで、地域の平和的安定に貢献できる。(編集担当:米原裕子)



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