――それでは、遠藤さん自身が俳優業を目指したきっかけを伺いたいのですが。

遠藤:僕は、中学の時に両親が離婚していて、その後母親と2人で暮らし始めました。そして、18歳の時に母親が亡くなって。そして土木作業の仕事をしながら、一人暮らしをはじめて、しばらく時間が経った時にふと自分の人生を振り返ったんですね。「今の自分には何も無い」って思って。

――自分の生きた証を何か残したかった?

遠藤:それもあります。後は、一人の人間として遠藤要が発言するよりも、俳優の遠藤要が発言するほうが世の中に多くの影響を与えられると思ったんですね。そこで、歌や演劇のレッスンを受けながら、色々な事務所に直接履歴書を持って訪れて自分を売り込んでいって。もちろん門前払いを受けた時もありました。

――それから、2007年に公開された映画「クローズZERO」で、800人以上が参加したオーディションで三池監督に見出され、映画デビューを果たしたのですね。

遠藤:色々、エキストラの仕事や小さな役柄をいただきながら仕事をしていて、初めて受けた大きなオーディションが「クローズZERO」でした。とても多くのスタッフや役者が参加している作品だったので、映画がこうやって出来上がるのかと分かったのは、とても良い経験でした。

――今後も、映画「SP」や「踊る大捜査線3」への出演が決定していますが、遠藤さんの中ではそういった大型作品と、今回の「イエローキッド」のような個性派作品の違いは感じていない?

遠藤:全く無いですね。どのような作品でも、役をいただけることが本当に嬉しくて仕方が無いし、芝居に対する姿勢は変わりません。

――今回の「イエローキッド」でも、ボクサー志望の青年を演じていて、「クローズZERO」でも乱闘シーンが多かったので、遠藤さんに“武闘派”なイメージを持っている方は多いと思います。今後はどのような役に挑戦してみたいですか?

遠藤:自分がずっとキックボクシングを続けている事もあり、やはりアクションが激しい映画に出てみたいですね。もっと勉強をしていきたいジャンルではあります。

――遠藤さんはお休みの日はどのように過ごされることが多いですか?

遠藤:あまり、熱心にどこかに出かけたりはせず、ゆったりと過ごす方ですね。友達数人で自然と集まって飲みに出かけたり。後は、映画もよく観ます。最近だと「アバター」を観たのですが、映像がすごくて興奮しました。

――それでは最後に、これから映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。

遠藤:「イエローキッド」は、斬新な映像の使い方が魅力の、新しいタイプの映画です。1度だけではなく、何度も観ることによってその都度新しい魅力を発見できると思うので、ぜひ映画館でご覧になっていただきたいと思います。

「イエローキッド」ストーリー

認知症を患った祖母と二人暮らしをしているボクサー志望の青年田村。「イエローキッド」という新作マンガを描く気鋭のマンガ家服部。服部が田村を主役‘イ エローキッド’のキャラクターモデルに決めたことで、彼らの日常は激しく動き出していく。服部はかつての恋人麻奈が、新作の敵対するキャラクター「ブラッ ディ・サン」に想定していた三国の子供を妊娠していることを知り、三国に対する憎悪が沸騰する。そんなある日、田村の行動が自分のマンガの物語通りに展開 していることに気付いた服部は、もしや田村が「ブラッディ・サン」こと三国を殺そうと考えているのではと疑い始める…。

イエローキッド - 作品情報

1月30日よりユーロスペースほか全国順次ロードショー