シーズンオフに各ポジションにバランスよく強力な補強を行なったマルセイユ。とくに数年前からの懸案だったセンターバックには、ボルドーからスレイマン・ディアワラ、レアル・マドリーからガブリエル・エインセを獲得して、盤石の態勢を整えた。

 デシャン監督は開幕からこの2人を起用し、その結果、昨シーズンこのポジションで50試合(リーグ36試合、チャンピオンズリーグ8試合、UEFA杯6試合)以上に先発で出場し、不動のレギュラーだったヴィトリーノ・イウトン(31)がベンチに追いやられている。

 イウトンは出身国のブラジルからスイスリーグを経て、2003年にフランスリーグへ参戦。リーグ・アンではこれまで6シーズンで172試合に出場、とくに過去3シーズンは連続してリーグのベストイレブンに選出されるなど、リーグ・アンを代表するセンターバックとしての地位を築いた。

 それが今シーズン開幕から3試合、まったくピッチに登場していない。プレシーズンマッチで太ももに打撲を負ったのもたしかだが、本人は問題ないとしている。プレーの場を求めて、8月末までにマルセイユを去ることすら考えた。故郷のブラジルに帰るという選択もあった。

 レキップ紙によると、イウトンはこの件についてデシャン監督と話し合ったという。「トップレベルで豊富な経験をもつセンターバックが4人必要」と考える監督は、「プレー時間について保証はできないが、重要な戦力として頼りにしている」とイウトンに伝えた。

 これを聞いたイウトンは、「たとえプレーできなくてもここに留まる」と残留を決意。「シーズンは長い。まだ多くの試合が残っているし、自分の力を信じている。いまは何も言わない。監督が僕にチャンスを与えたいと思ったとき、ピッチで力を発揮するだけだ」と静かに闘志を燃やし、出番を待っている。

 チャンピオンズリーグの組み合わせが決まり、レアル・マドリー、ACミランと同じ組に入ったマルセイユ。強豪とベストの状態で戦うには選手層の厚さがモノをいう。9月にはイウトンのような陰の存在が重要性を帯びてくるのは間違いない。