米国のサブプライムローン問題から東京株式市場でも影響がでています。

株安や原油高など米国のサブプライムローン問題の深刻化による金融収縮懸念によるともいわれていますが、最近「モノラインショック」という言葉がニュースでも取り上げられることが増えてきました。

今回は、このモノラインショックについてみてみましょう。

■モノラインとは
モノラインとは米国で金融保証保険業務を専門的に行う会社のことで、有価証券の発行者から保証料を受け取り、債務不履行(デフォルト)の場合などに元利の支払いを肩代わりするという保険会社の一種です。

これらの会社は保険会社の中でも保証を金融商品に限定していることから、モノ(=単一の)ラインと呼ばれています。簡単にいえば債券の保険会社です。
国債は満期まで保有すれば元利払いは保証されていますが、それ以外のほとんどの債券は満期までに債務不履行となる可能性があり、債務不履行となった場合は投資家がこれら保険会社から元金と利払いを保証してもらうという仕組みです。

モノラインは信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)債権を組み込んだ証券化商品も保証対象としているため、サブプライム住宅ローンの債務不履行による元利払いの肩代わり負担も行います。したがって今回のサブプライムローン問題で肩代わりする負担が増大すると業績が急速に悪化し、モノラインの格下げが発生してしまいます。

そもそも信用力が低いサブプライムローン関連の債権を集めた証券化商品が高い格付けを得ていたのは、借り手が払えなくなってもモノラインが元利金の支払いを保証していたことが大きな理由です。格付けの高いモノライン保険の保証が付くことで投資家の安心感が増し、証券化商品の売り買いを支えてきました。

ところが、サブプライム関連の債務不履行が増えてモノライン保険が実際に支払わなければならない事例が増えますと、中小のモノラインの信用力が低下して大手各社にも波及してしまったわけです。
米証券大手モルガン・スタンレーのアナリスト、ケン・ザーブ氏は1月8日付の調査リポートで「最終的な損失額がはっきりするまでモノライン株への投資は見合わせるべきだ」と投資家ら警告しています。

■モノラインの生命線は格付けと信用収縮
モノラインの保証業務への信用を支えているのが格付け会社による高い格付けです。

代表的なモノラインはAmbac(アムバック)やMBIAですが、自社に対して格付け会社から高い格付けを得ていることで信用を確立し、その信用を背景に証券化商品の保証を手掛けるわけです。つまり、「トリプルAの格付けを持つAmbacが保証を付けることによって、その証券化商品の格付けも保証される」というわけです。

今後、Ambacが保証してきた証券化商品の格付けが引き下げられると証券化商品を保有する金融機関の評価損失がさらに拡大するという「負の連鎖」も起こりかねないのです。モノライン各社の信用力低下は保証先の債券や証券の価格下落を促すため、金融市場の混乱やモノラインショックにつながります。モノライン自体の格下げは、かなり深刻な事態といえるのです。

AmbacとMBIAは、2007年11、12月期、2008年通期の業績予想を下方修正しています。Ambacについては2008年通期で一株利益が0.49ドルの赤字に陥るとの悲観的な見通しを明らかにしました。そのため株式市場では「モノライン売り」が再燃し1月8日だけでAmbacは17%、MBIAは21%と大幅に下落しています。いまやモノライン各社は資本増強になりふり構っていられない状況なのです。

■日本への影響はあるのか
日本の大手金融機関にとっても米国で金融商品を販売する場合はモノラインの保証を受けているケースも多くあります。生損保などの日本の金融機関がモノラインの保証する金融商品を保有していた場合、評価損失が膨らむ懸念もでてきます。

例えば、損保ジャパンは1月11日、金融保証保険で3億ドル(340億円)の保険金を支払う可能性が生じたと発表しました。サブプライムローンを一部に含む証券化商品の保険を引き受けていましたが、その格付けが想定以上に悪化したことで支払うリスクが生じたのです。

損保ジャパンは自ら保険を受ける「元受け」でしたが、ほかの国内大手損保では米国のモノラインがいったん受けた保険のリスクを小分けにした再保険の形で受けている例もあります。

金融庁の佐藤隆文長官は1月21日の会見で「(取引は)大手損保会社が主で、ヒアリングなどの結果では、それぞれの会社において十分にコントロール可能な範囲内」と、国内金融機関への影響はそう大きくはないとの見方を表しましたが、 国内金融機関は大量の国内株を持っており、モノラインショックによる株安の深刻化は楽観できません。

今後もムーデイーズ、スタンダード&プアーズなどによるモノライン各社への格付けの行方には注目していく必要があるでしょう。■こちらもオススメ!気になるトレンド用語
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