「バロンドール」賞における唯一のイタリア人審査員ベッカンティーニ記者が、受賞に値する理想の選手像を挙げた。

「受賞者の歴代リストを見るがいい。
 何も勝ちとっていない者が、審査において勝者に打ち勝つのは甚だ困難だ。W杯にもユーロにも、ましてやCLにも出場していない人間にはチャンスはほぼ皆無だということだ。

 理想を言うなら、出身国でも(CL含む)外国でもチームを優勝させ、W杯を勝ちとった選手であることが望ましい。86年にはイタリア人選手にも推したい選手がいたが、マラドーナに投票するかどうかで逡巡したものだよ」

 厳格性と公平性を保つために「最近の審査は、ただ純粋に候補者50人の選考書類に目を通すだけだ」とする同氏。「審査発表までの2週間、固定電話も携帯も電源を切り、外界からの干渉を遮断する。世界から孤立するんだよ」と言い、最後に「誰にもどこにも肩入れしない。なぜなら、その必要がないからだ」と誇り高いベテラン記者は結んだ。

 最後に近年の受賞者を付記する。審査員たちの苦悩に思いを馳せれば、改めて見る名前がまたちがった印象をもってくるのではないだろうか。

2000年 フィーゴ(Rマドリー/当時)
2001年 オーウェン(リバプール/当時)
2002年 ロナウド(インテル、Rマドリー/当時)
2003年 ネドベド(ユベントス)
2004年 シェフチェンコ(ミラン/当時)
2005年 ロナウジーニョ(バルセロナ)
2006年 カンナバーロ(ユベントス/Rマドリー)