先日、トッテナムの監督を解任されたマルティン・ヨルが、自らの去就についてコメント。PSVの監督として母国オランダに戻ることが有力視されているヨルだが、いずれトッテナムの監督として再びロンドンに戻りたいとコメントしている。

 2シーズン連続でプレミアリーグ5位の成績を収めるなど、トッテナムをマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、リバプールの4強に迫る勢力にまで育て上げたヨル。その手腕は内外から高い評価を受けていたが、今シーズンはスタートダッシュに失敗。リーグ戦を10試合以上消化した時点で降格圏内をさまようチーム状態に、クラブ側は指揮官の解任を決意した。

 解任に当たり、クラブ首脳陣との確執も噂されたヨルだが、「再び監督としてクラブに戻りたい」と語るほど、トッテナムへの思い入れは強い様子。バイエルンのオットマール・ヒッツヒェルト監督の例を挙げながら、自身のトッテナム復帰の可能性について次のように語っている。

「私はファイターだ。今後、何があるか分からない。今でもそう信じている。例えば、オットマール・ヒッツフェルトを思い出してみるといい。彼はバイエルンを退団してから2年半待って、また監督としてクラブに戻った。フットボールでは機会とタイミングがすべてなんだ。それに、数年後にはトッテナムの首脳陣もメンバーが代わっているかもしれないだろう?」

 さらにヨルは、自らをアーセナルのアーセン・ベンゲル監督と比較し、トッテナムで十分な時間を与えられなかったと悔しさをにじませながら語っている。

「ベンゲルは2年連続で4位だったはず。その間、彼は何のタイトルも獲得していない。リーグ優勝も2004年が最後だ。それでもアーセナルは、『タイトルを獲るか、リーグで3位以上』といったノルマをベンゲルに課すことはない。なぜなら、ベンゲルがそれだけの力を与えられているからだ。彼は『時間が必要』と言える立場にあるということさ。ニューカッスルやマンチェスター・シティで5位の成績を収めれば、偉業とすらいえる。でも、スパーズでは大した成績とは見なされないようだ…」

 トッテナム監督の座を元セビージャのファンデ・ラモスに奪われたヨルは、このスペイン人監督について、「クラブはラモスの就任で4位以上の成績が収められると思っているようだが、そんなのはビジネスマンの考え方だ。ラモスはセビージャで結果を残したが、スパーズではどうなるか分からない。クラブが変われば、やり方も大きく変わるのだからね」と古巣に警告を発した。新監督就任後も、不穏な空気に包まれた状態を抜け出せずにいるトッテナム。1月の移籍マーケットで主力の退団が噂されるなど、シーズン中の空中分解もありえる状態だけに、ヨルの監督再就任が予想以上に早く実現する可能性もあると言えそうだ。