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ベテランの大量定年を見据え、警視庁が若手警察官の育成を強化しています。“職質のプロ”から職務質問の声のかけ方や着眼点などを学ぶ取り組みに密着。捜査の最前線で若手が得た経験とは。

■若手警察官の育成「アンダー5強化プロジェクト」

新宿・歌舞伎町の路上で行われていた職務質問。実務経験1年4か月の若手、佐藤夢美巡査(20)が先輩警察官に職務質問を学んでいました。

先輩警察官
「薬物とかってみたことあります?」
「誘われたこととかってないですか?」

佐藤巡査
「チャック開けて大丈夫ですか?」

警視庁はいま、若手警察官の育成に力を入れています。それは人材確保への懸念からです。

現在、警視庁にいる警察官は約4万4000人。しかし、数年後には、いま50代前半から半ばの“団塊ジュニア”世代が大量に定年を迎えることが予想されています。

そのため「アンダー5(ファイブ)強化プロジェクト」として、5年目未満の若手警察官がベテラン警察官のパトロールに同行。職務質問など“捜査の最前線”を学び、即戦力を増やそうとしているのです。

■“職質のプロ” 遊撃隊

佐藤巡査
「私は遊撃隊に入りたいと思っていて、今回研修に参加した理由は、職質のプロである遊撃隊の方から技術を学びたいと思い、希望しました」

遊撃隊とは職務質問などで犯罪の予防や検挙を行う部隊です。

今年4月には、東京・上野の駐車場で、近くのビルに強盗に入ろうとしていた5人に、巡回中の警察官が職務質問をして、強盗予備の疑いで逮捕。事件を未然に防ぎました。

◇

警察官の仕事の中でも、重要な職務質問。

警視庁の実務を始めたばかりの警察官は通常、交番勤務から始まります。実務8か月の赤羽健太巡査(23)もそのひとり。

赤羽巡査
「若手で職務質問に対して苦手意識を持っている警察官は多いと思う。実際に職務質問のプロと回らせていただいて、声かけの仕方や着眼点を細かく教えてもらうのは有意義だと思う」

赤羽巡査も職務質問に苦手意識があるため、今回のプロジェクトに応募したといいます。

■“職質のプロ”に学ぶ捜査最前線

この日は先輩と共に職務質問を学ぶ1日。赤羽巡査がチームを組んだのは、16年目の高橋巡査部長と、14年目の佐藤巡査長です。

赤羽巡査
「おはようございます!今日こそ検挙挙げられるようにがんばります」

高橋巡査部長
「がんばりましょう!」

◇

さっそく、パトロールへ出発。車を走らせながら不審な人物を探していきます。

車内では、先輩からアドバイスが。

赤羽巡査
「(指をさしながら)半袖に黄色いの付いてる人」

高橋巡査部長
「いいと思うんだよ、キョロキョロしてるね。でもなんか、薬物って感じではないのかな。薬物だとどうしても変に痩せ細ったり、ちょっとあごの感じが細くなったり、そういうのがある」

新宿・歌舞伎町をパトロール中、不審な点を感じ、佐藤巡査長が赤羽巡査を連れて男性の元へ向かいます。

赤羽巡査
「パトロールで回っていて、危ない物ないとは思うんですけど、荷物確認させていただいていいですか」

職務質問への苦手意識を克服しようと、積極的に声をかけていく赤羽巡査。

赤羽巡査
「普段から歌舞伎町とか新宿に?」

男性から話を聞く中で、不審な点は解消され、次の場所に向かいました。

◇

到着したのはコインパーキング。高橋巡査部長は一台の白い車に向かい、車の窓を全開にして寝ている2人の男性に声をかけました。

高橋巡査部長
「免許証ある?あと持ち物確認させてもらっていいですか」

男性
「はい、全然大丈夫です」

佐藤巡査長
「カバン見てもいいですか」

男性
「どうぞ。何もないんで」

男性は「何もない」と話しますが、赤羽巡査が財布の中身を確認すると…

赤羽巡査
「このカードって?」

男性
「あー、同僚の借りていたんですけど」

赤羽巡査
「(同僚の)名前言えます?」

男性
「いやー、わかんなくて。それが間違って入っちゃっていて」

赤羽巡査
「あー」

男性
「使えないやつだと思うんですけど」

高橋巡査部長
「調べますよ、そしたら」

なぜか他人名義のキャッシュカードを所持していました。さらに車内からは大麻のにおいが。

男性
「本当にやってないんで、そこだけ信用してもらって」

しかし--

高橋巡査部長
「これってさ」

男性
「わかんないです、それは」

車内から、小さなポリ袋を発見しました。薬物を保管する際に利用される場合がある袋です。

高橋巡査部長は電話で応援を要請し、すぐに応援も到着。2人からさらに詳しく話を聞いていきます。

すると車両の中から赤羽巡査が何かを発見--

赤羽巡査
「なんかこういうのあって」

高橋巡査部長
「ぽいね!」

赤羽巡査
「ここにありました。下にありました」

高橋巡査部長
「ナイス!ナイス赤羽」

赤羽巡査が発見したのはハサミ。刃の部分に付着物があったといいます。

警視庁によりますと、ハサミについた付着物などは、その後の鑑定の結果、大麻片と判明。20代の男性は、大麻所持の疑いで緊急逮捕されましたが、その後不起訴処分になったということです。

■苦手な職務質問が大きな経験に

後部座席の下にあったハサミを発見した赤羽巡査。苦手な職務質問でしたが大きな経験になったといいます。

赤羽巡査
「犯罪に使われるようなもの、特に薬物関係は、普段だったら絶対見ないような場所に隠してあると教わっていたので、一つ一つ慎重に確認していった結果、発見することができました」

「職務質問というのは、やっぱり自分から動いていくものになるので、そこで最初に苦手意識があると、なかなか技術や経験は身につかない。今回こういった形で、プロの方々と実際に回らせていただいて、非常にいい経験させていただいているなと思います」

◇

今後相次ぐベテランの定年退職を控え、若手がどう「地域の安全」を守っていくか。警視庁は年間7000人の参加を目指し、現場での若手育成を強化しています。

(9月24日『news every.』より)