ダウ蓮見vs伊集院光の論争に東野・有吉らも反応 かまいたち濱家の「もっと言い合いたくない?」が示す“芸人同士の正しいケンカ”
テレビはまだまだトガっている。心に“刺さった”番組を語るリレー連載「今週のトガりテレビ」。今回は、テレビウォッチャーの飲用てれびが、ダウ90000の蓮見翔と伊集院光の“バトル”について考える。
【画像】芸人界で騒動となった「クレヨンしんちゃん」ダウ90000蓮見翔の脚本回
「若くてお笑いやってるやつなんか、流行ってないし悪い」
お笑い流行ってない――。ダウ90000の蓮見翔の持論である。蓮見いわく、千鳥は人気だ。知名度の高い芸人も多い。しかし、それは個々の芸人がお笑いより流行っているだけで、お笑いそのものが流行っているわけではない。
そんな「お笑い流行ってない」論を、蓮見は今年に入って各所で発信している。私が最初に聞いたのは『大悟の芸人領収書』(日本テレビ系、2026年1月12日)だった。
ダウ90000は大学時代の演劇サークルが母体である。ただ、蓮見いわく演劇は人気がない。そこで「お笑いをやったら演劇にお客さんが来てくれるんじゃないか」と考え、お笑いに手を伸ばしてきた。ただ、「お笑い何年かやらせていただいた結果ですね、お笑いもそんなに流行ってなかったです」。
実にクリティカルな批判である。私が生活する大阪では海原やすよともこのポスターを毎日どこかで見るので勘違いしていた。お笑いは流行っていなかったのかもしれない。
この言葉を引っ提げて、蓮見のテレビでの露出も増えている。「お笑い流行ってない」は年末の新語・流行語大賞の候補に挙がってくる可能性もある。流行っていないはずのお笑いの場で連呼してきた言葉が「流行した」と認定されるのもおかしな話だが。仮に受賞したら、蓮見は授賞式で「流行語大賞は流行ってない」と言うかもしれない。
そんな蓮見が9月23日の『これ余談なんですけど…』(朝日放送)に出演していた。そこで出たのはただの「お笑い流行ってない」ではない。活用形である。
「若くてお笑いやってるやつなんか、流行ってないし悪い」
最近の若者はお金をあまり使わないと言われるが、蓮見自身は車を購入するなど「結構使ってるほう」らしい。ただ、最近は「お金使うの生意気な空気もある」という。
もしかすると蓮見は、車の購入時に、周囲からいろいろ言われたのだろうか。「今の世の中、車買ったりしたときも思ったんですけど、やっぱ若いことがもう悪いから」と口にする。
伊集院光がバッサリ「腰が抜けるほどつまんない」
蓮見の“暴論”に、MCの濱家隆一(かまいたち)が「またそういうさ、パワーワードを残すからさ」と笑う。そんなツッコミを燃料にしながら、蓮見のトークは加速する。「若いのがもう悪いんですよ」「俺みたいな若いのは悪いんですよ」――その流れで出てきたのが「若くてお笑いやってるやつなんか、流行ってないし悪い」である。
この言葉でどうしても思い出されてしまうのは、今、お笑い界で最大級の注目を集めているアニメ『クレヨンしんちゃん』(テレビ朝日系)の件だろう。
蓮見は9月19日放送の同作で脚本を担当。「ある午後の野原夫婦だゾ」と題された作品は、みさえとひろし2人の会話劇だった。主人公のしんちゃんの姿はほぼ登場しない。ワンシチュエーション・ワンカットで動きはほぼない。子ども向けアニメとして異様であったことは間違いない。
当然、チャレンジングな試みには賛否両論が巻き起こる。もっともインパクトの大きい“否”を発したのが、伊集院光である。
9月21日深夜のラジオ『JUNK 伊集院光の深夜の馬鹿力』(TBSラジオ)で、「おじさんなりに思ったことを、勇気いるけど素直にしゃべってみようと思うんだけど」と前置きしつつ、「見たんだけど、腰が抜けるほどつまんない」と言及した。
この発言はネットで話題となり、Xなどでも議論が広がった。すると24日、蓮見も自身がパーソナリティを務める『REQ JAM』(JFN)でこの件に言及。
作品を「つまらない」と評されたこと自体については、「つまんなかったのは俺が悪い」として受け入れる姿勢を示した。
一方で引っかかったのは、伊集院が「おじさん」側の少数意見を代弁するような構えを取りながら、作品だけでなく蓮見自身のスタンスにまで批判を広げたことで、その点については「その下から潜り込むファイトスタイル、この人はまだやってるんだ」と反応した。
蓮見は「若いのがもう悪いんですよ」と語るなど、各所で“若者代表”のような立ち位置を求められることが多い。そこに、あえて「おじさん」の側から批評する伊集院の構図が重なったことで、今回のやり取りはいつの間にか世代間対立のようにも見えるものになった。世代間対立は、Xのアルゴリズムの好物である。
ただ、知り合いの喧嘩ならいざ知らず、芸人同士がメディア上で自身の話芸に引き込みながら展開する“対立のようなもの”にSNSなどで口を突っ込んで「どちらが正しいか」をジャッジする――これは無粋だろう。芸人同士の言い合いを、こちらが勝手に被告と原告に見立てて勝敗に変換する必要はない。
先の『これ余談なんですけど…』で、MCの濱家はこんな話をしていた。
芸能人たちはもっと言い合うべき?
「最近俺思うのがさ、言ったら、言われた側がヘコんだりさ、言った側が叩かれるから言わへんみたいになってるやん。言い合いたくない?」
このコメントに「はい、はい」とうなずきながら聞く蓮見。もちろん、話している内容に事実関係の誤りがあったら訂正する必要があるし、発言に差別が含まれているとしたら問題外だ。そういうものでなければ、言い合えばいい。
ましてや、それがエンタメのなかで行なわれているのであれば。言い合うこと自体がコンテンツなのだから。それが何かしらの理由でキャンセルされる状況は、それこそ腰が抜けるほどつまらない。
なお、この“騒動”を受けて、ラジオやYouTubeなどでは東野幸治、有吉弘行、ナイツ、真空ジェシカなどいくつか芸人の反応も出てきている。
もう少し大きくなって、令和のミッチー・サッチー騒動にならないかな。当時の人間があとから振り返って「なんだったんだあれは……」と途方にくれ、蓮見よりさらに若い世代が「?」と困惑する騒動に。とりあえず、何もわかっていないデヴィ夫人に口を出してほしい。
まあ、ネットの話題はすぐ次に移るのだろうけれど。お笑いは流行っていないわけだし。
文/飲用てれび
