那須川天心の敗北、海外メディアはどう見たか クリンチの不満に「そんなことをするより…」リング誌が指摘する明確な差
那須川は再戦でも井上に敗戦…海外メディアは「右をかわすことができなかった」
ボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦が27日、トヨタアリーナ東京で行われた。同級1位の挑戦者・那須川天心(帝拳)が王者・井上拓真(大橋)に0-3(111-116×2、113-114)の判定負け。約10か月ぶりの再戦で7回にダウンを奪うなど見せ場も作ったが、リベンジはならなかった。海外メディアは、敗れた天心をどう見たのか。
試合は井上が達人的なディフェンスと、多彩な攻撃で優勢に進めた。逆転を狙う那須川に、チャンスが訪れたのは7回。王者が僅かな油断を見せたその時、左ストレートを突き刺した。顔面にまともに食らわせ、ダウンを奪取。場内は騒然となった。
畳みかけたい那須川はその後も猛攻。しかし、経験豊富な井上は冷静にかわし、立て直した。判定の結果は0-3で那須川が完敗。同じ相手に連敗し、リングから退場する際には大粒の涙を流した。
試合後の取材では「本当にボクシングで負けた感じ。ポイントゲーム。負けた気していないんですよ」と本心を口にした。4ラウンドを終えた段階での公開採点では、40-36、39-37、38-38と2人が井上を支持。1人は4ポイント差をつけており、那須川陣営は予想外の劣勢であったとしている。
海外メディアは、この日の那須川の戦いぶりをどう見たのか。米専門メディア「ボクシング・シーン」は、トム・アイバース記者の署名記事を掲載。8ラウンドを終えた時点で「ナスカワは勝利するには残り4ラウンドをすべて取らなければならないことを分かっていた。ラウンドをより競った展開にすることはできたものの、イノウエの右をかわすことができなかった」とした。
一方の井上については「サウスポーのナスカワに次々と強烈なパンチを打ち込み、まるで当てられないパンチがないかのような場面さえあった」と的確な攻撃を評価。最終ラウンドも「勝利を確実にするのに十分なことをすでに成し遂げたと確信しており、それに応じた試合運びを見せた。効果を発揮していたナスカワの左を警戒し、試合の流れをひっくり返す隙を与えなかった」と、盤石だったとしている。
リング誌はクリンチでの不満に「そんなことをするより…」
世界で最も権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」では「2回、ナスカワが王者を倒したように見えた場面について、ベテランレフェリーのマイケル・グリフィンはダウンを認めなかった。両者は距離を詰める場面が多く、そのたびに脚が絡み合ったのだ。こうした接近戦はイノウエにとって有利だった」と、接近戦が井上有利に働いたと分析する。
「足さばきが軽快で、動きでも上回っていたイノウエは、ナスカワが相手の隙を待つ傾向を突き、ジャブを当てるとともにナスカワのパンチを空振りさせた」
両者の対峙をこう表現し「これは、4ラウンドを終えてもナスカワがまだ自分の距離をつかめていなかったことを示す、最も明確な場面だった」と、4回終了時でも那須川がペースを掴めていなかったと指摘。「挑戦者を手数で上回るイノウエは、2発のコンビネーションを軽く繰り出し、距離をそれほど離さないまま、うまくタイミングを測って離れていった」と井上のテクニックを称賛している。
那須川についてはこのような指摘もある。
「ナスカワはクリンチでのラフな攻防について何度も不満を示し、自分でレフェリーのように振る舞う場面もあったが、そんなことをするより、意図を持って前進し、攻撃の手数を増やすべきだった」
記事では井上のセコンドについていたスーパーバンタム級4団体統一王者の兄・尚弥にも注目。「『リング誌』のパウンド・フォー・パウンドランキング1位でもあるナオヤは、この大一番に向けた準備段階から弟の成長について高く評価していた。そして今回も、その成長が世界の舞台で改めて示された」と兄の評価が間違っていなかったとした。
(THE ANSWER編集部)
