《鍋にカビの生えた骨、ネズミが走り、風呂場に穴…》被害者が告発、虐待発覚した北海道の農業法人“あまりに劣悪な職場環境”「“罰金”引かれ給料7万円」「日本は憧れの国だった」
北海道・京極町の農業法人で「特定技能」の在留資格で働いていたミャンマー人への虐待が疑われている問題。「日本人のご主人様は誰だ」などと言った暴言の録音音声や胸ぐらを掴み引きずると言った暴力行為の動画が、大きな話題となっている。
【実際の写真】〈北海道・農業法人でパワハラ〉暴行を捉えた動画の一部、緑のカビだらけの室内、部屋にはネズミ…劣悪な生活環境
勤務していたミャンマー人から刑事告訴もされている農業法人で、一体何が起こっていたのか。この農業法人で2026年5月から働き、7月に「脱出」した30代のミャンマー人男性Aさんに話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む】
Aさんは、農業法人を実質的に仕切っていたと見られる京極町議、通称"親父"から胸ぐらをつかまれ引きずられたほか、胸を正面から蹴られたこともあったという。 "白髪"と呼ばれていた町議の次男からのものも含め、暴言は日常茶飯事だった。
「日本で働こうと思ったのは、友人がいたことと日本人は法律を守る、と聞いていたからです。日本に着いた時は『がんばろう』という気持ちでした。しかし暴力を受けるようになり、食欲は落ち体重も減りました。夜眠れなくなり、夜中に何度も起きてしまい、睡眠不足にもなりました」
日本といえば「綺麗なイメージ」だったというが、生活環境も予想をしていたものとは違った。生活の拠点は古い戸建てだったという。
「長い間、誰も住んでいなかったような状態で、中に入ると埃だらけでした。以前に住んでいた人のものも残っていました。台所にあった鍋の中には骨のようなものが残っており、カビだらけでした。いくら掃除してもその鍋は使えないと思いました。ネズミもいました。風呂場は穴が空いているところもありました。
部屋は1人1室でした。ベッドを置くとベッドと壁の間がわずかしかないくらいの広さでした」
Aさんは実家が農業をやっていたこともあり、農業を学ぼうと考えて来日した。来日費用は約75万円。前職のトラック運転手時代の貯蓄と、友人らから借金もして捻出したという。募集時には毎月17万円くらいを稼げると聞いていたため、農業の技術を学びながらまずは借金を返済しようと考えていた。しかし、実際の給料は聞いていたものと大きく異なった。
「明細はこれです。実際にもらった給料は5月が5万円ほど(※来日した月のため勤務日数は少ない)で、6月は11万円から4万円を引かれたので7万円だけです。7月分は未払いです。引かれた4万円はチェーンソーを壊してしまった弁償代ということになっています。
チェーンソーを使う作業をしているとき、壊れました。ガッチリした別の同僚が使っていて、私は木を支えていた時に壊れたんです。チェーンソーの刃の部分がまっすぐでなくなったから、その弁償代で4万円。このチェーンソーは新しいものではありませんでした」
暴言暴力に劣悪な住環境に、罰金制度もあり収入も聞いていた額とは程遠い。
Aさんのほか、札幌では6人のミャンマー人男女が保護されている。9月18日には、札幌地域労組と農業法人側との2回目の団体交渉が行われた。
「札幌地域労組によると、一部の未払金の支払いが行われ、暴行の一部についても認められたといいます。ただ、一番の当事者である町議は交渉の場に姿を見せず、今後もやり取りが続けられる見通してす」(北海道担当記者)
取材でAさんはこうも話している。
「日本に来る前、日本は自分たちにとって憧れの国でした。綺麗で、人も優しく、仕事の技術もきちんと教えてくれるだろうと思っていました。しかし暴力を受け、精神的に追い詰められ、日本人に対して怖いという感覚を持つようになりました。
ただ、北海道を出てから、自分たちを助けてくれる人も周りにたくさんいることが分かりました。どこの国にもいい人と悪い人がいるのだろうと思うようになりました。助けてくれている人たちに感謝しています」
町議が公の場に現れる日は来るのだろうか。事態の進展が待たれる。
(了。前編から読む)
