「2人で使っていた」六本木キャバ嬢・ヤマトリノ容疑者…警視庁が”半同棲の男”と一緒の日を狙った理由

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【前編を読む】六本木キャバ嬢・ヤマトリノ容疑者コカイン逮捕、誕生日イベントの客まで洗った警視庁「半年の極秘内偵」

タワマンに通う埼玉のリフォーム会社経営者

ある程度薬物捜査に携わっている捜査員なら、コカインを常習する者の独特な表情や時々鼻をすするような仕草から、直感的にピンとくることも少なくないという。

「長年の経験と勘から、微妙な表情が引っかかることがあるんだよね。色んな場面での気分の落差を見ることもあるし、あとは目をじっくり観察する。シャブやコカイン、大麻とか、やっている種類によっても異なるから一概には言えないが……。いずれにせよ、クスリの場合は酒で酔った感じとはテンションがちょっと違うなってだいたい分かるね」(薬物捜査に詳しい捜査員)

まもなく、本人が深夜によく顔を出す店近くのバーも突き止めた。そして、交友関係を絞り込む中で、頻繁に会っている男が浮上することになる。今回、一緒に逮捕された、埼玉県内でリフォーム会社を経営する福本康太容疑者(28歳)だ。田澤梨乃容疑者(27歳)の住むタワーマンションにも、手慣れた様子で頻繁に通ってきていた。

「最初は、仲のいい客の1人かと思ったが、マンションの部屋で半分同棲しているような状態。埼玉のヤサ(自宅)にも帰っているが、明らかに深い関係だと分かった」(捜査関係者)

福本容疑者の立ち回り先や経営する会社についても、徹底的に調べられた。そこである事実が判明する。田澤容疑者は自分で「A」という法人を設立していたが、その書類上の住所が福本容疑者の関係先だったのだ。

「これは、お互いにかなりの信頼関係があるのだろう。女だけがクスリをやっていて、男が知らないなんてことはあり得ない」(捜査関係者)

「マル暴」もマーク

一方で、夏前には周辺に薬銃課とは別の捜査員の顔も見られるようになっていた。暴力団対策課に所属する、通称「マル暴」と呼ばれる捜査員たちだった。

警視庁は今年1月、広域暴力団・住吉会傘下の2次団体である幸平一家の取り締まりを強化するとして、対策本部を設置した。同団体は都内の繁華街で勢力を拡大し、闇バイト強盗や詐欺、スカウトなどを行う「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と関りが深いとされている。指定暴力団の2次団体を名指して取り締まるのは極めて異例で、警察上層部からは「組織を挙げて摘発せよ」と大号令がかかっていた。

ある警察幹部は、こう述べている。

「実は、暴対課は別のスジで六本木のいくつかの店をマークしていた。ある店の収益の流れやスカウトの実態を調べる中で、複数のキャバ嬢が幸平一家関係者を含む反社会的勢力と親しくしているという情報があって捜査していたんだ。高額のカネが動くところには、必ず裏社会の人間の影がある。みかじめ料みたいな分かりやすいものはなくなっても、トラブル処理や客の紹介なんかで旨味はあるからね。クスリの件で追いかけていた薬銃課とはまた別の動きで、そういう意味では六本木が色々な捜査の主戦場になっているということだ」

警視庁では「部署が違えば別の会社みたいなもの」と言われることもあるが、今回2つの課が連携した形跡はなかった。クスリの件は、あくまで薬銃課が単独で追っていたようだ。

「警視庁だ。開けろ!」

そうこうしているうちに夏を越し、田澤容疑者逮捕のXデーが刻々と近づいていた。捜査会議で確認されたのは、「確実に2人が一緒にいるところに踏み込んで、ブツを押さえること」。コカイン所持の現行犯でそれぞれを逮捕し、その後尿検査をして使用の容疑でも調べるという方針だった。片方だけしか在宅していない場合、たとえコカインが室内から見つかっても、共同所持で立件できない恐れがある。

「当初は8月に動くことも検討したが、キャバ嬢の場合は夏休みをとって旅行したり、整形や肌管理とかで海外に行ったりする可能性もあるという話だった。それに、警察でも働き方改革が進んでいて、お盆の時期は捜査員を交代で休ませないといけない。事件を受ける東京地検とも協議して、着手は9月に入ってからと決まった」(警視庁幹部)

迎えた9月15日の午後。捜査班のメンバーは、田澤容疑者が住む六本木のタワーマンションに集まっていた。前日からコウカク(行動確認)して、福本容疑者と一緒に部屋にいることは確認済みだ。捜査員は決められた配置につき、何人かは捜索令状を持ってマンションのドア前でスタンバイする。

「警視庁だ。開けろ!」

抵抗することもなく、ドアはまもなく開けられたという。

捜査員がなだれ込むように部屋に入ると、ほどなくして部屋のあちこちに無造作に置かれた白い粉末が入った袋が見つかった。一部について鑑定が行われ、コカインと判明。麻薬取締法違反(所持)の疑いで2人を逮捕した。部屋からは粉末入りの袋が21個と、ストローも見つかり、常習的に吸引していたことは明らかだった。

すでに尿検査も行われ、使用についての容疑でも再逮捕か追送検することが検討されている。田澤容疑者は「2人で使っていた」と認め、当初は否認していた福本容疑者も認める供述を始めているという。

果たして、捜査はこれで一段落となるのだろうか。警視庁幹部はこう断言する。

「2人の逮捕で終わりじゃない。入手ルートも含めて、関連の捜査は当分続けるよ」

六本木の夜の街を舞台にした違法薬物捜査は、まだ入り口の段階のようだ。手練れの捜査員たちは、すでに次の狙いを定めて動き始めているという。

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