多くの人にとって年金は65歳から受け取るものだと思われがちだが、本当にその年齢が最も得なのかという疑問は根強い。受給開始を早めれば早く受け取れる分、月々の受給額は少なくなり、遅らせれば受給額は増えるという単純な仕組みは知られているものの、その先にある損得の分かれ目までを理解している人は少ない。所得税は受け取る額が大きくなるほど税率が上がっていく構造を持つため、年金額の多寡がそのまま手取りの多寡に直結するとは限らない。他の収入の有無や税率構造、そして何歳まで生きるかという不確かな要素まで絡んでくるため、簡単には結論づけられない厄介な論点だ。
 
脱・税理士の菅原氏はこのテーマについて、老齢基礎年金と老齢厚生年金という二つの年金の存在に触れながら話を進める。会社員として社会保険に加入してきた人がもらえる年金と、主に国民年金を払ってきた人がもらえる年金は本来別のものであり、一般的には両方の受給開始を同時に早めたり遅らせたりする発想が広まっているが、菅原氏はそこに別の選択肢があると明かす。片方だけを通常どおり受け取り、もう片方だけを遅らせるという組み合わせだ。この考え方の背景には、年金にまつわる税制上の仕組みが関わっているらしい。早くもらうか遅くもらうかという二択だけでは捉えきれない工夫が、そこにはあるようだ。
 
さらに菅原氏は、受給開始の順序次第で配偶者の年齢や将来の家計にも影響が及ぶ可能性があるようだ。長く生きるほど有利になる選択と、早く受け取ることで安心できる選択、そのどちらを選ぶべきかは一人ひとりの状況や将来の制度変更によっても左右されるところだ。夫婦であればそれぞれの受給開始をずらすという発想も成り立つといい、家族構成によって最適な組み合わせは一通りではないことがうかがえる。年金制度そのものが将来的に見直される可能性にも触れ、今の常識がいつまで通用するかは誰にも分からないというのが実情だ。
 
その組み合わせ次第で、将来の手取り額はどこまで変わってくるのか。老後の資金計画を考え始めた人にとって、新たな発見がある内容だ。

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