「18歳で2500万の差エグい…」こどもNISAスタートで心配される若者の"異常な格差”、「最速で埋めるのが愛」という親も

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10月1日より、いよいよ各証券会社で「こどもNISA」の口座開設受け付けがスタートする。0歳から17歳を対象に、年間60万円、最大600万円まで非課税で投資信託を運用できる新制度だ。各社が豪華なキャンペーンを打ち出すなど盛り上がりを見せる一方、「親のマネーリテラシーによって、子どもが18歳になる頃には絶望的な格差が生まれるのでは」と危惧する声も上がっている。2027年1月の制度開始を前に、新制度が抱える“未来の格差問題”を追った。

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現金5000円、人気キャラとコラボ…早くも始まった“顧客争奪戦”

「こどもNISA」は、0歳から17歳までの子どもを対象にした新たな「少額投資非課税制度」だ。年間投資枠は60万円で、0~17歳の間の非課税保有限度額は最大600万円。その枠内であれば運用益に税金はかからない。

投資できるのは、成人向けNISAのつみたて投資枠と同様、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託だ。12歳以降は、資金を子どものために使い、本人の同意を得るなど一定の要件を満たせば、親権者による払い出しも可能になる。

実際の制度開始は2027年1月からだが、今年の10月1日から各証券会社で口座開設の受付が始まる。親世代の関心を取り込もうと、ネット証券各社はこぞってキャンペーンに力を入れ始めた。

例えば楽天証券は、口座開設など条件を満たした利用者に最大5000円の現金をプレゼントするキャンペーンを予定している。ライバルのSBI証券は、人気絵本「パンどろぼう」とのコラボ企画を実施し、おこづかい帳などのオリジナルグッズをプレゼントする。その他の証券会社や銀行もポイントや定期預金の利率アップなどのキャンペーンを展開する。

こどもNISAは18歳になる年の1月1日から自動的に成人向けのNISA口座に引き継がれる仕組みとなっている。証券会社としても「未来の顧客」の獲得につながるので、力が入っているわけだ。

国がこどもNISAを導入する狙いは、「次世代の資産形成支援」や「必要資金への備え」の後押しだ。

片山さつき財務相は新制度の開始にあたり、「0歳からの口座開設を可能にすることで大学進学等のライフイベントに備える資金確保を支援できる」と語った。教育費の高騰が叫ばれる中、運用益が非課税になる「こどもNISA」は、将来の備えとして強力なツールになるはずだ。

しかし、そんな中で懸念されているのが、「若者の格差拡大」である。

0歳からのオルカン積立で「18歳時に約2300万円」の可能性

こどもNISAは国民にとって素晴らしい制度であるが、一方で「親の経済力やマネーリテラシーによって、若者の格差をさらに広げるのではないか」という懸念が示されている。

今年3月5日の衆議院本会議において、中道改革連合の大森江里子議員は次のように指摘した。

「今回拡充される投資枠に拠出するのは、実質的に資力のある親や祖父母であり、結果的に格差の固定化につながるのではないかとの懸念もあります。与党の令和8年度税制改正大綱では、『格差の固定化につながらないよう配慮しつつ』と書かれていますが、 具体的にはどのような方策をお考えか」

これに対し片山さつき財務相は、「格差の固定化につながらないよう配慮し、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円と、18歳以上よりも低い限度額を設定しております」と説明した。

つまり政府も、親や祖父母の資金力によって子どもの資産に差が生まれる可能性を、制度設計の段階から意識していたことになる。

だが、非課税枠の金額が少ないからといって本当に格差は限定的なのだろうか。

そこで大人向けのNISAで人気となっている、全世界株式インデックス(いわゆるオルカン)に連動する投資信託の過去実績で試算をしてみると、驚くべき結果が出た。

全世界株式(MSCI ACWI)に連動する投資信託を0歳から年間60万円(月5万円)を上限の600万円に達する10歳まで積み立て、その後は追加投資せずに18歳まで複利運用を続けたとする。

その場合、運用益を含めた資産額の中央値は「約2300万円」にのぼる(※過去20年の実績値・年率リターン10.5%・リスク18.6%に基づく計算であり、将来の成果を保証するものではありません。また相場には暴落がつきもので、取り崩し時にそのタイミングが重なる場合もあります)。

あくまで試算に過ぎないうえ、もちろん元本割れのリスクもあるが、親がこどもNISAの非課税枠をフル活用できた子どもは、18歳の時点で約2300万円の資産をすでに手にしている可能性があるというわけだ。

一方で、親に経済的な余裕がなかったり、投資の知識がなかったりして、それを手にすることができない子どもがいる。それどころか、数百万円の奨学金という借金を背負うケースも珍しくない。

18歳で2000万を超える格差――そんな未来予想は、決して大げさではない。

「最速で非課税枠を埋めたい」という親も

それでは、実際に子を持つ親はどう考えているのだろうか。話をきいてみた。

「こういう制度ができるのはありがたいです。ただ、自分のNISA枠を使うので精一杯で、ちょっとそこまで手が回らないですね……大人向けのNISAも1800万、夫婦だと3600万も非課税枠があるので」(東京都在住・5歳と2歳の息子がいる男性)

「金融リテラシーのある親とない親で、だいぶ子どもの未来が変わってきそうだとは感じます。利用はしてみたいんですが、塾にもお金がかかるので、なかなか……」(神奈川県在住・10歳の娘がいる女性)

一方で、こんな父親も。

「ジュニアNISAがなくなったのを残念に思っていたので、こどもNISAができるのはとても嬉しいです。もちろん、最速で枠を埋めに行きますよ。特定口座(課税される普通の口座)の投資信託を取り崩してでもやる予定です。インフレや円安が続いていきそうな中、娘が大学生になったときに、留学などの選択肢が取れるように準備するのが親の愛だと思っています」(東京都在住・2歳の娘を持つ男性)

この男性は夫婦のNISAも最速で非課税枠を埋めていく予定だという。

国が用意した非課税の恩恵を受けられるのは、金融の知識を持ち、リスクを取って資金を投資できる層に限られる。「貯蓄から投資へ」の流れが加速する中で、未来の大学生たちが直面するスタートラインの格差は、私たちの想像以上に深刻なものになるかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部