フランスの80代ひとり暮らし女性が「手放す家事」3つ。窓ふきは外注、アイロンがけは卒業
何歳になっても生活する上で欠かせない家事。フランス文化研究者のペレ信子さん(50代)は、現地の80代女性たちが、「人生を楽しむために家事を合理的に簡略化している姿が印象的だった」といいます。ひとり暮らしのシニア女性たちの実例を交え、「手放す家事」について紹介します。

1:窓ふきなどの大がかりな掃除

日本は長寿の国として知られていますが、フランスの女性も寿命が長いことで知られています。今年の夏、フランスで80代の叔母たちをはじめ、ひとり暮らしをしている女性たちに会い、家事について話を聞きました。
彼女たちがそろって「しなくなった」と話していた家事が、「掃除」です。とくに窓ふきなどの大がかりな掃除は、完全にプロに任せているといいます。
料理で汚したところをこまめにふく、朝食後のパンくずを小さなほうきとちりとりで掃除、というようなサッとできることは自分で。とくに散らかりやすい食後は、次の行動に移る前にその場をキレイにしてしまうことで、気持ちよい空間を維持しているのだそう。
2:アイロンがけ

私が学生だった数十年前に、フランス家庭の家事のやり方でいちばん驚いたのは何にでもアイロンがけすることでした。シーツやタオルはもちろん、下着にまでアイロンがけする家庭まであると聞いたことがあります。
フランスのアイロンがけについてそんなイメージをもっていたので、この夏、ひとり暮らしの80代女性たちがそろって「アイロンはやめた」というのを聞いてびっくり。
家族が多かった頃は、シーツやタオル、布巾などはゴワゴワしているとかさばるので、アイロンで平らにし、同じ大きさにたたんで、きっちり収納していたそう。ところが、ひとり暮らしになって布物の量が減ると、アイロンがけも必要なくなったといいます。服も、アイロンが不要で扱いやすい混紡素材のものを選んでいるそうです。
3:週1回のまとめ洗濯

以前、私が知るフランスの家庭では、洗濯は週1回程度にまとめて行うことが多かったのですが、今回話を聞いた80代女性たちは、もっと頻繁に洗濯をしているそうです。
その理由は、衣類やタオルなどを必要最低限の量に減らしているから。週1回では間に合わないため、必要に応じて洗濯しています。干し方も、夏は外干し、冬は乾燥機や室内干しなど、住環境や季節に合わせているようです。
話を聞いたほぼ全員の80代女性たちが、「洗濯は自分でしていますか? 大変ではないですか?」と質問する私に、「洗濯? 洗濯なんて大した家事ではないわよ。洗濯機がやってくれるじゃない」と答えたのが印象的でした。
戦後しばらくまで、村の共同洗濯場へ洗濯物を運んで手洗いしていた時代を覚えている世代だからこその答えだと思いました。
毎年フランスに来ると、以前そうだと思い込んでいたことが新しいやり方に変わっていることに気がつくことがあります。80代のひとり暮らしの先輩たちの家事のやり方は、自分が心地よく暮らすことを最優先に、家事を簡略化することで、人生を楽しむ時間を大事にしていました。
