65歳以上夫婦2人の平均的な家計収支は?無駄をなくそうとがむしゃらに頑張る前に、まずは支出の把握と比較から
家計を守るために、実はしなくてもいい節約を頑張っている可能性も。見直すポイントが異なる固定費と変動費に分けて、効果を得やすい工夫を専門家が教えます。まずは、固定費の見直しから(構成:山田真理)
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今使っているサービスの料金や内容の比較を
ファイナンシャルプランナーとして多くのシニア世代の家計をみるなかで、特に大切だと感じるのは支出の把握です。
無駄をなくそうとがむしゃらに頑張る前に、まずは自分たちがどれくらいお金を使っているのか、実感することからはじめましょう。下に紹介するのは、65歳以上の平均的な家計収支です。
家計簿を付けていない人でも、おおまかに1ヵ月の支出を計算して、平均値と比べてみてください。食費や光熱・水道費など、もし突出して平均より高い費目があれば、その理由はどこにあるか、どうしたら解決できるかを考えるのです。

<65歳以上2人暮らしの月の平均支出>(表を拡大)
とはいえ、節約は苦しくて大変なものと思い込んでいては、腰は重くなるばかり。「ちょっと工夫してみよう」と、脳トレ気分で楽しみながら、試してみてはいかがでしょうか。
重い腰を上げるため、まず最初におすすめしたいのが、すぐに効果を感じられる固定費の見直しです。特に今回は見落としがちな、通信費、サブスクリプション、車、保険・医療費について解説します。
今使っているサービスを比較検討し、解約の手続きを進めるのは面倒に感じるかもしれません。しかしその億劫な気分は、年齢を重ねるほどさらに強まっていくもの。思い立った今こそチャンスと思って一度見直せば、後は何もしなくても、節約の効果はずっと続いてくれます。
ネットやアプリでの登録・手続きが必要な場合は、若い人の知恵を借りることも大事です。「何度も同じことを聞く」などと嫌がられないように、自分でも調べたり、へこたれずに試したりしながら、これも脳トレ気分で身につけていきましょう。

(イラスト:市村譲)
【通信費】
固定電話解約と格安スマホへの乗り換えで費用を大幅カット
固定費のなかでも、見直す価値がもっとも高いのが通信費。まず固定電話は、すでにスマホを使っていたり、そもそも使用頻度が少ないなら解約を検討してみてはどうでしょうか。
「この番号にかけてくる知り合いがいるかも」と思うかもしれませんが、実際にかかってくることは意外と少ないはず。固定電話を狙った特殊詐欺や、あやしいセールス電話の被害のほうが、昨今はむしろ深刻です。
また、スマホ料金は、回線が安定している大手携帯キャリア(NTTドコモ・ソフトバンク・KDDI)が運営する、低価格帯のサブブランド(いわゆる格安スマホ)に乗り換えるだけで大きく削減できます。
料金プランは「データ容量」「通話料金」とも、まずは一番少ないコースで契約し、足りなければ増やすといいでしょう。
なかには、シニアに特化した割引プランもあります。そうした情報や使い方を聞くには、店舗での「対面」が安心です。
<舟本さんのおすすめ格安スマホ>
●Y!mobile(運営元:ソフトバンク)
●UQ mobile(運営元:KDDI)
コストを抑えるため、実店舗を持たない場合が多い格安スマホ。そのなかでも上の2つは、全国に店舗があるので対面でのサポートが受けられます。次点のahamo(運営元:NTTドコモ)は、3300円(税込)のサポート料金が必要ですが、手続きなどの補助をドコモショップで受けることが可能
【サブスクリプション】
気づいたら増えている……見落としを防ぐコツ
1件ずつは月に数百円と低額なため契約しやすい半面、「塵も積もれば」で、数が増えすぎれば家計を圧迫しかねません。まずクレジットカードや銀行口座の利用明細をチェックし、現在入っているサブスクリプションの「見える化」をしましょう。
利用頻度が少ないものは思い切って解約を。また使いたいと思った時に再開すれば、「使わなかった期間」の無駄を省くことができます。
そして、新しいサービスを始める際に一番大切なのは、契約前に「解約方法」を確認すること。なかなか整理が進まない人のなかには、「そもそもやめ方がわからない」というケースも少なくないはずです。

<サブスク管理のチェック項目>
上のチェック項目を参考に、必要な情報を手帳やカレンダーに書いて、少なくとも半年に1回はサブスクの見直しをするといいでしょう。合わせてユーザー名やパスワードなども、忘れないように大切に管理を。
《Check! しなくていい節約》
すべての娯楽をやめる
節約しようと思うあまり、「人生の楽しみ」まで削っては味気ないもの。もし節約するのであれば、大事にしたいものを1つ決め、それに関することだけにお金を使うようにしてみましょう。
私の場合、以前は遠方の会場まで行って観劇を楽しんでいましたが、今は猫の世話代と医療費に出費を集中。市民講座で習った短歌で愛猫を題材にした作品を詠むなど、お金をかけずに今後も楽しめる趣味を見つけられました。
【車、保険・医療費】
手放す勇気はいるけれど、見直し効果は抜群
地方に暮らす方にとって、車は大切な生活の足。とはいえ、維持にかかる費用も大きいものです。また、年齢とともに運転への不安を感じたら、勇気をもって手放す選択も。可能な範囲で段階的に、生活テリトリーを縮小することも検討してみましょう。
自治体によっては、免許返納者向けにシルバーパスの発行やタクシー助成券の配布を行っています。「XX市 高齢者 外出支援」などで検索してみましょう。日々の買い物は、ネットや生協宅配の利用もおすすめ。下の表で、車を持ち続けた場合と手放した場合の出費を比較したので、参考にしてみてください。

<コストの比較例>(表を拡大)
また医療費について、「70歳以上の窓口負担の見直し」という心配なニュースは確かにあります。しかしそれに備えようと、新たな保険に加入するのは考えもの。医療保険でまかなえるのは主に入院・手術費であり、自己負担そのものを幅広くカバーできるわけではありません。
シニア世代にとって、保険は「増やす」よりも、内容を「見直す」ことが大切。「入院給付金が重複していないか」「使う予定のない特約が付いていないか」「貯蓄でまかなえる部分まで過剰に保障を付けていないか」など、何となく入ったままの保険は定期的に見直し、無理のない保険料で安心を確保しましょう。

<お得な「シニア割」>
シニア世代だから使える制度や割引も、知らずに使わないのはもったいない。
たとえば、大手スーパーのイオンでは55歳以上の会員を対象に、毎月15日を「G.G感謝デー」として、会計時に電子マネーWAONで支払うと5%オフ、イオンカードのクレジット払いを利用すると請求時に5%オフされます。
イトーヨーカドーでは、毎月15・25日にシニアナナコでの支払いで5%割引に。
買い物のほかにも、イオンシネマでは55歳以上1300円、TOHOシネマズなら60歳以上は1400円で映画を楽しめます。美術館や動物園など、地域の人気スポットでもシニア割が使える場合があるので、訪れる前にぜひ調べてみてください。
また、自治体によるシニア向けサービスは、広報紙や地区の掲示板で確認するほか、散歩がてら役所や出張所に寄って聞いてみる。企業が提供するサービスも、ウェブサイトをはじめポスターやチラシでこまめに情報を掴んで、節約生活を「楽しんで」いきましょう。
変動費の見直しにつづく

