100本の漫談を持つ男(C)日刊ゲンダイ

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 話芸一本勝負のお笑い賞レース「関西みらい銀行presents MBSラジオ漫談王決定戦2026」(MBSラジオ)決勝戦が19日に行われ、宮下草薙・宮下兼史鷹が初代王者に輝いた。

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 決勝進出者は、ドンデコルテ・渡辺銀次、ガリガリガリクソン、藤原花和(アマチュア・高校生)、ちぇく田、日下れいな(アナウンサー)、真輝志、宮下、野村尚平、ダブルヒガシ・大東翔生の9名。A~Cブロックで争われた結果、藤原、真輝志、宮下の3名が最終決戦へ進出した。

 トップバッターの藤原は、反抗期に親に盾突かないのは「クーポンあんのに使ってないみたいなこと」、恋愛ゴシップの価値が高い高校生活を「円安、ゴシップ高」と表現するなど、10代ならではの発想で沸かせる。

 続く宮下は、童話「金太郎」のその後を描く。特に相撲で敗れた熊の娘の回想シーンで、「寄り切りで負けた」「強いストレスとフラッシュバックで毛を毟るように(なった)」など、父の悲劇を歯切れよく語って笑わせていたのが印象的だ。

 最後の真輝志は、中学・高校の6年間所属したバスケ部で一度も活躍できなかった経験を自虐。臨場感たっぷりに当時の失敗談を畳みかける秀逸なネタだった。三者三様の漫談だったが、審査員5名中4名が宮下に票を投じた。これが宮下にとって、賞レースの初タイトルだった。

■芸人になる前に作っていた100本の漫談

 今回の優勝は、突然もたらされたものではない。宮下草薙は2018年元日の「ぐるナイ おもしろ荘」(日本テレビ系)で3位となり、“お笑い第七世代”ブームで注目を集めた。ただ、当時は草薙航基の素朴さと暴走キャラにスポットが当たり、宮下は一歩引いた存在に見られがちだった。

 実は、そんな時期の2020年に「霜降りバラエティ」(テレビ朝日系)で、今回披露した「金太郎」漫談の原形を見せている。ただし、このときは「コンビ格差」に悩む宮下を救う企画だったため、漫談そのものよりも“じゃない方芸人の不満”を爆発させるキャラクターが目立った。

 その後も「100本の漫談を持つ男」とイジられる一方で、漫談を正面から評価される機会が少ないままキャリアを重ねていく。一時期は「M-1グランプリ」に出場せず、玩具やラーメン店を紹介するYouTubeを始めるなど、趣味的な一面を強化。すっかり漫談のイメージは薄れていた。

 それが今年、漫談の賞レースで本領を発揮した。宮下はコンビ結成前から相方の草薙を「自分より売れる」と見定め、100本(厳密には93本)の漫談も芸人になる前に作ったという。つまり、宮下は草薙の才能と同じように“自分の漫談はお笑い界で通用する”と考えていた。その先見の明に驚かされる。

 何より長年持ち続けてきた漫談を、ここ一番の舞台で堂々とやり切る自信。それこそが、宮下の最大の才能なのかもしれない。

(鈴木旭/お笑い研究家)

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 その眼力は相当なもののようだ。関連記事【もっと読む】出演者を光らせる職人…千鳥・大悟の“芸人を見る目”が今こそテレビに求められている…では、千鳥・大悟の“異能”について伝えている。