「女性無料・男性が奢る」…それでも相席ラウンジに10年通う男性が”お持ち帰り”を求めていないワケ

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「よく男性から『女性は無料でいいね』みたいに言われるんだけど、それを言われた時点でナシ! いろんな事情があるってことを想像したほうがいい。それに、こういう場所に来る男性=それなりにお金を持っているって映るから、一つの安心材料になる。『無料でいいよね』って言う男性は、お金ないのかなって疑っちゃう(笑)。だから、こういう場所では言わないほうがいい」

『相席屋』に端を発した相席ブームが曲がり角を迎え、現在は『オリエンタルラウンジ』と、その系列店『ag(アグ)』が突出して人気を集めていることは、≪1店舗で月売上1億円超え…「相席屋はオワコン」の裏で、若者たちが『オリエンタルラウンジ』に熱狂する意外な理由≫で説明した。冒頭の言葉は、実際に『オリエンタルラウンジ上野店』で取材した際に、利用客の女性が口を尖らせながら言い放った一言だ。

男性読者の中には、この言葉に対して「厚かましすぎるだろ」とか「こっちから願い下げだよ」などと腹立たしさを覚える人もいるだろう。だが、週末ともなると『オリエンタルラウンジ』には、大勢の男女が出会いを求めて列をなす。男女が、である。

事実、その売上を見ると、2025年12月の『オリエンタルラウンジ恵比寿店』の来店者数は男性7768人、女性6142人を記録し、 特別なキャンペーンなどを実施するでもなく、通常営業のみで月間売上1億円を突破するほどだ。昨年夏にオープンしたばかりの『オリエンタルラウンジ大阪駅前店』でも、初年度にして月間売上9000万円を達成するなど、東京以外の店舗でも記録的な売り上げを更新している。

「女性は無料、男性側に料金が発生する」という特有のシステムであっても、多くの男女が足を運び、これだけの売上を記録しているのだから、少なくとも男女双方に一定のニーズがあることはうかがえる。先の女性の言い分も一理あるのだろう。

では、男性側の言い分はどうなのか? 一方的に支払ってでも異性と出会いたい。そこにはどんな動機や思惑があるのか。私と担当編集は、再びお店に許可をいただいた上で、『オリエンタルラウンジ』の中でも月間売り上げが上位に入るという「上野店」で話を聞くことにした。

時間は21時過ぎ。週末の金曜ということもあり、すでに店内は多くの男女でさんざめき、BGMをかき消すほど笑い声があちこちから聞こえてくる。なお、取材は店側の配慮で、彼らの時間料金を一時的に止める形で行い、我々が「話を聞きたい」という目的で同席することを、男性サイド(名前はすべて仮名)が快諾してくれていることも付記しておく。

ゲーム感覚で相席ラウンジに行く

まず一組目に話を聞いたのは、アラサーの3人組だ。清潔感があり、3人とも決して悪くないルックスだ。シンノスケさん(30歳)とケンタロウさん(26歳)は会社の先輩後輩の関係で、シンノスケさんとユウタさん(29歳)は大学時代からの友人だという。

相席店へは2人で来店することがスタンダードなだけに、「3人で来店するのは珍しいですね」と私が聞くと、シンノスケさんはケンタロウさんを指さし、「行ったことがないから行ってみたいと。今日が相席デビューなんで、ちょっと心もとないと思ってユウタも誘ったんです」と経緯を説明し始めた。

3人はともに保険関係の仕事をしているという。だが、ケンタロウさんは相席店を訪れるのが初めてで、ユウタさんとはこの日が初対面。お互いの素性は「知らない」と笑う。

「僕は8年くらい相席系のお店に通ってますね。ユウタは10年くらい通っている。ここ最近は、他店には行かず『オリエンタルラウンジ』ばっかり。それなりに僕とユウタは熟知しているので、後輩のデビューをお膳立てできるかなって」

そうシンノスケさんが話すと、ケンタロウさんは後輩らしく身をすくめて、「おんぶにだっこです。今日はお二人の力を借りて楽しみたいと思います」とはにかんだ。たしかに、堂々としているシンノスケさんとユウタさんとは対照的に、ケンタロウさんはどこか腰が引けている印象が拭えない。

とは言え、これから知らない女性たちと百人組手よろしく、100人即席コンパをするのだから、彼に「緊張するな」というほうが無理がある。何をするにしても‟デビュー戦”は一度しか訪れない。ワクワクとビクビクが同居しているケンタロウさんを見て、私たちは「リラックスしよう。大丈夫だよ」などと、おおよそ取材とは関係ないだろうエールを送っていた。

それにしても8年、10年も通っているとは驚きである。一体、何が魅力なのか?

「やっぱり女性と話してるときにしか得られないものってあるじゃないですか。でも、いちいちナンパをするのはめんどい。ここは、お金を払えばその面白さを体感できる」(ユウタさん)

「労力がかからないからタイパ(タイムパフォーマンス)がいいんですよね。マッチングアプリは、いろいろと手間がかかるからタイパの面で敬遠するようになりました」(シンノスケさん)

お金を払って女性と話すなら、キャバクラやガールズバーではダメなのか。そう追質問すると、

「あれは半分プロみたいなものじゃないですか。素人の女性のほうが面白いし、くすぐられる。野生のポケモンに出会えた--じゃないですけど、『やべぇラッキー!』みたいな(笑)。キャバクラにも行ったことありますけど、あんまり楽しくないなって感じたんですよね。結局、キャバクラってお金を使わないとどうにもならないじゃないですか。課金ゲームをしている感じで面白くない。こっちは気が合ったら、そのまま違う場所に飲みに行ったりできるから、何が起こるかわからないという刺激がある」(ユウタさん)

さすが10年戦士である。話しているときの面構えからして違う。月に2回ほど、その刺激を求めて彼らは訪れるというが、そもそもの話として、お金を払ってまで女性と出会いたいのは、職場や身近な場所で「出会いが少ないから」とも付言する。

デビュー戦を控えるケンタロウさんも首肯して、口を開く。

「ホントに職場は出会いがないですね。僕は『相席ラウンジ』の存在もよく知らなかったんですけど、シンノスケさんと話をしていたら、『こういう場所があるぞ』って教えてくれて。それなりにお金はかかりますけど、まったく出会えないくらいなら、お金をかけてでも行ってみたいと思いました」(ケンタロウさん)

相席ラウンジに行く一番の目的

『オリエンタルラウンジ』は、女性は無料、男性はチャージ550円、その後飲み放題相席10分につき440円~1500円が加算されていく仕組みになっている。店舗や曜日・ 時間帯によって料金が異なる場合があるが、競合他社も似たような料金体系となる。決して安くはないが、出会いを求める男性にとっては、「許容範囲の自己投資」だとケンタロウさんは語る。

だが、その話を隣で聞いていた先輩・シンノスケさんが釘を刺す。

「こいつは真剣な出会いを求めているかもしれないけど、僕らは必ずしもそうじゃない。もちろん、そういう人に出会えたらいいんでしょうけど、一番の目的はここに来て、その日を楽しめるかです」(シンノスケさん)

その「楽しむ」の中には、‟お持ち帰り”も含まれているのかと質すと、

「もちろんそういった下心はありますよ(笑)。でも、仮に女の子が捕まらなくても、ユウタと二人で『アレ何だったんだよ』って言いながら帰るのも楽しい。お金を使ったんだから、楽しくないと割に合わないじゃないですか。どんな形でも楽しければ、僕はここに来た甲斐はあったなって思いますね」(シンノスケさん)

ユウタさんも同調する。

「みんなで盛り上がったほうがアツいんですよ。女の子が僕のことを気に入ったとしても、他の男性陣を気に入ってなければ連れ出せない。だから、結局みんなで盛り上がったほうが確率が上がる。盛り上がった者同士だけで抜け出す? そんなことしたらシンノスケに悪いじゃないですか!?(笑) 普通の合コンだったらそれもアリだけど、ここって男はお互いにそこそこ高い金額を払っているから、そういうことはしたくない」(ユウタさん)

「実際、僕らはたまに合コンもします。低コストで済むから、合コンで済むなら合コンで完結させたいですよ。でも、ここと違ってチェンジができない」(シンノスケさん)

『オリエンタルラウンジ』では、専用のスマホアプリから好きなタイミングで相席相手を変えることができ、どちらがその意思を示したかわからないように、店内のスタッフが配慮する。出会いを意図的にコントロールできるのだ。

「変えられるから効率もいい。合コンにはそれがないから、つまらないと最後までつまらない。僕ら、先々週に合コンしたんですけど、まさにそれだった。お口直しで、その足で『オリエンタルラウンジ』に行きましたもん。赤羽で合コンして、電車に乗って上野に来ました(笑)」(シンノスケさん)

「男がすべて払う」問題について

真面目なんだか不真面目なんだかわからない。だが、彼らなりに「楽しむため」に頭をフル回転させていることは伝わってくる。今現在、彼女はいないというが、もし彼女ができたら相席ラウンジに来るのはやめるのか?

「僕はいるときも来ますね。やっぱり彼女では得られない成分がある。でも、それって『後日を期待して』というよりも、『その日が楽しい』というのを求めてです。まぁ、彼女には、『相席店に行くよ』とは言えませんけど(笑)。だけど、シンノスケと飲んでいるわけですから、『今日は友だちと飲みにいく』って口実はウソじゃない。飲んでいる場所が、たまたま女性と相席ができてしまうお店だっただけというか」(ユウタさん)

詐欺師の言い分ではないか--と思ったが、これだけ口が達者なら、相席した女性を飽きさせることもないだろうと、私は変に感心してしまった。実際、彼らが最も嫌う相席相手のタイプは、「ずっとスマホを見てたり、楽しむ気がない子」だと、語気を強める。

「『男がすべて払うのはどうなんだ?』とか言われますけど、男が払うのは当然だと思いますよ。ただ、払ってんだから、楽しむ気がない女性と相席するとめっちゃ腹が立ってきます。『何しに来たんだよ』って。逆に言えば、楽しければ男が払ってでも来る価値はある。それを知らない人が、ごちゃごちゃ言ってるだけだと思いますね」(ユウタさん)

「そうそう。行かないとわからないことがある。8年も通っていると、会話のキャッチボールとか引き出しは、かなり鍛えられていると思う。仕事にいきているかどうかはわからないけど、少なくとも初対面の女性と話すのは全然怖くない」(シンノスケさん)

「うらやましい……」。それまで二人の相席愛に圧倒されていたケンタロウさんがぽつりとこぼす。女性陣に取材した、≪マチアプはメッセージも1対1も面倒…「相席ラウンジ」に9年通い続ける会社員女性の本音から見えてくる「出会いの変化」≫でも触れたとおり、ここには異性と話すことが苦手な人が、‟荒療法”として利用するケースもある。

「ケンタロウにも『楽しかった』って思ってもらいたい。だから今日は、1時間1本勝負だと思ってます」(シンノスケさん)

1時間1本勝負?

「相席ラウンジには、VIPというシステムがあるんですよ。普通に利用するよりも料金は割高なんですけど、自分たちの好みの女性を優先して案内してくれるんです。例えば、『ノリがいい』とか『かわいい系がいい』とかリクエストすると、その要望に沿った女性と相席できる」(ユウタさん)

「2時間いて4組と相席したとするじゃないですか。うち最後に自分たちと合う女性が来たら、その前までの3組に費やした時間とお金がもったいない。タイパの中に、さらに突き詰めたタイパがある。VIPを利用すれば1組目から盛り上がりやすいから、そのまま1時間後に『この後の飲み直しに行こう』と誘いやすくなる。打率を上げるなら、高くてもVIP一択ですね」(シンノスケさん)

口をあんぐり開けて感心していたケンタロウさんの姿が、私は忘れられない。合コンとはまた違う、高度な戦術が存在し、お金を払っているのだから、その分、勝ち筋を見出したい--言われてみれば、その通りなのだ。

お店の好意で個室を用意してくれたこともあり、思いのほか本音で話してくれた彼らに感謝の意を伝えると、

「いえいえ、僕らのほうこそ暖機運転じゃないですけど楽しかったです。自分たちがどういう目的で通っているのかも整理できたし。記事、楽しみにしてます!」

そう笑って、多数の女性がひしめくフロア--戦場へと旅立っていった。なんて気持ちの良いヤツらだろう。

「ケンタロウさん、楽しめるといいなぁ」。我々は心からそう思いながら、次の2組目を待った。

後編『「男が奢る」のはギャンブルみたいなもの、「女のタダ飯」は当然の権利?…相席ラウンジから見る「東京の恋愛の難しさ」』では、さらに二組の男性グループに話を聞いた。

【後編を読む】「男が奢る」のはギャンブルみたいなもの、「女のタダ飯」は当然の権利?…相席ラウンジから見る「東京の恋愛の難しさ」